2016年10月号(3)とんでも税理士の相続税対策?

今回は皆様に“とっておきの節税対策”をご紹介します。

ちょっと難しいですが、ゆっくり想像しながら読み進めてみてください。

 

建築による相続税対策

親の土地上に親が現金1億円で賃貸マンションを建築します。個人が取得した建物の相続税評価額はすぐに貸家評価(固定資産税評価額×0.7)になります。

市町村が付ける固定資産税評価額が建築価格の50~70%と言われますので、これを60%の6000万円とすれば貸家評価は6000万円×0.7で4200万円に。

1億円で建てた建物が4200万円の評価に変わったことで、5800万円の相続税対策効果が出たことになります。

これが賃貸不動産を建てることで得られる相続税対策の基本です。

 

 

個人ではなく会社で建てる

その効果を2倍にするためには、親個人で建築せず、会社が建築。会社は親が現金6000万円出資し、親が100%株主の会社です。銀行借入金4000万円を加え、計1億円で賃貸マンションを建築。

親の財産が現金から株式に形を変えました。(消費税の影響は除きます。)

小会社の場合、株式評価額は会社の純資産額、つまりプラスの財産からマイナスの財産を引いた純財産額が原則です。会社のプラスの財産は貸家建物だけ。

個人の場合はすぐに貸家評価になりますが、会社の場合は取得や新築から3年以内は時価評価(減価償却後の簿価なら普通はその価格が時価でOKです)で、3年経過後は貸家評価(固定資産税評価額×0.7)に下がります。

つまり3年以内は1億円(便宜上ここでは償却費無視の簿価)3年経過後は4200万円の「評価」です。

会社マイナス財産は銀行借入金4000万円(元金返済なしとして)のみなので、建物評価額から借金を引けばそれが株式評価額。3年以内なら6千万円(=1億―4千万円)。

3年経過後は200万円(=4200万円―4000万円)です。6000万円出資した会社の株式評価が200万円になったということはつまり3年後に得られる対策効果は5800万円です。

 

 

株を贈与、そして建物を売却すると

3年経過後、会社の株を子に贈与。評価額が200万円の株なら贈与税も微々たるもの。子は持ち分100%の株主兼取締役として賃貸経営を開始です。

さらに、しばらくして建物を売却。しかも会社は親個人に建物を売ります。売却価格は相続税評価ではなく時価(償却後簿価)。つまり4200万円ではなく、1億円(ここでは償却費を無視します)です。

その購入資金は親所有の現金1億円。会社は簿価1億円の建物を1億円で売ったのだから利益はゼロ、法人税もゼロです。

会社は受け取った1億円から銀行借入金4000万円を返済します。会社財産が賃貸建物から現金6000万円に変わりました。

現金だけの会社は意味がないので、会社を清算して現金6000万円を株主に払い戻します。株式の取得原価が6000万円(贈与前の親の出資額を引き継ぎます)なので、清算による所得税なし、さて株主とは?

そうです、子です。気が付けば子の手元に現金6000万円が残りました。

 

 

対策効果はさらに倍!?

親が出資した会社の所有不動産を、その会社を譲り受けた子どもが売ることは普通にあることです。ただその売却先が親というだけ。

さて、親が1億で買った建物の相続税評価額はいくらでしょう。

冒頭でも書いた通り、個人が取得した建物の相続税評価額はすぐに貸家評価(固定資産税評価額×0.7)になります。

つまり1億円ではなく4200万円。その差額5800万円には相続税の課税はありません。

先述の清算金6000万円と合わせると、このスキームの合計対策効果は6000万円の約2倍「1億1800万円」になるというわけです。

 

 

覚悟と自己責任でどうぞ

驚愕の相続対策ですが、一点だけご注意があります。はたしてこんなことを税務署が納得してくれるでしょうか?この一連の出来事が長期的にたまたま(?)そうなったのならまだしも、3年やそこらの短期間で行われたなら、ほぼ確実に税務署と戦うことになるでしょう(笑)。

それでも実際に首都圏ではこんな鬼の様な提案を行う税理士がいるそうなのです。

アパート建築の相続対策効果を2倍にする方法、実践されてみますか(笑)?