2019年12月号(1)「契約不適合責任」とは・・・

契約不適合責任」とは・・・

来年2020年4月1日より民法が大きく改正となります。
そこで、改正民法の施行により不動産取引にどのような影響を与えるか、「瑕疵(かし)担保責任」と「時効」の2点について確認していきます。
今回の民法改正では、売主の「瑕疵担保責任」が廃止され、新たに「契約不適合責任」が売主に課させることになります。
簡単に瑕疵担保責任についておさらいしますと、瑕疵とは、売買契約の目的物が通常有すべき品質・性能を欠いていることをいいます。
例えば、売主も知らない建物の雨漏りやシロアリによる床下の腐食、土壌汚染、過去にあった事件、近隣とのトラブル等がこの瑕疵に該当します。
これらの瑕疵のうち、買主が通常の注意を払ったのにも関わらず発見できなかった瑕疵を「隠れた瑕疵」と呼び、
瑕疵担保責任ではこの「隠れた瑕疵」に対し、売主の責任が問われていました
一方、改正民法では瑕疵担保責任という概念は廃止され、売主は買主に対して「契約不適合責任」を問われます。
これは、瑕疵担保責任が無くなって売主の責任が軽くなるというわけではなく、逆に売主の責任が重くなります。
買主は隠れていようがいまいが、売主が契約と違うものを売れば契約不適合ということになります。
さらには、これまで債務不履行に対する買主が取り得る対抗措置は、解除(契約した目的を達成できない場合)と損害賠償のみだったのが、
改正民法では、完全履行請求と代金減額請求も可能になりました。
売主にとっては、契約不適合責任により責任の範囲が広がるため、買主に対する責任が一層重くなることが予想されています。

消滅時効の変更点について

時効には取得時効と消滅時効がありますが、今回改正されるのは消滅時効のみです。
消滅時効とは、権利を持っていても長期間何も行使しなければその権利が無くなるというものをいいます。
現行民法では、原則として請求できる時から10年で債権は消滅します。

その他、飲み屋のツケは1年、工事の請負代金は3年等、業種によって異なる短期の消滅時効が定められており、
商法では商事債権(下図参照)は5年と規定されています(但し、他の法令で5年間より短い定めがある時は、その定めによります)。

しかしこれでは、消滅時効が「どれに該当するのか複雑で判断しずらい」といった声がこれまでにあがっていました。
そこで、職業別の短期消滅時効は廃止され、改正民法では原則として、
(1) 債権者が権利を行使することができることを、知った時から5年間行使しない時。
(2) 権利を行使することができる時から10年間行使しない時。
このいずれか早い時の経過によると統一されました。
また商事債権の消滅時効5年についても廃止されます.。
尚、この改正後の消滅時効の適用は、民法改正が施行された後に発生する債権に適用され、民法改正前に発生した債権には原則適用されませんのでご注意ください。

また、これまで分かりにくかった制度の1つに、時効の「中断」、「停止」がありました。時効の中断とは、中断事由が発生すると、
それまでに経過した時効期間がリセットされ、改めてゼロから時効が進行します。
時効の「停止」とは、停止理由が発生すると一定期間、時効の完成が猶予され、猶予期間が終わった時点から、
改めて進行を再開します(経過した時効期間のリセットはありません)。

現行民法の「中断」の概念に代わる制度が「更新」、「停止」に代わる制度が「完成猶予」です。
また、現行民法にはなかった新たな制度として、協議による時効完成の猶予制度が創設されました。
この制度の創設により、現行民法下では当事者間の合意によって時効を阻止する事はできませんでしたが、
改正民法では、当事者間で協議に合意すれば、原則として1年間は時効が完成しません。