2020年7月号(2)【コロナ対応策part2】コロナで起こる賃貸トラブル??

5月14日に39県で緊急事態宣が解除されました。
とは言うものの、海外の事例では、ロックダウン(都市封鎖)の解除後に、
再度感染拡大が起きたこともあり、解除発表の際、
引き続きテレワークを活用する・人との接触は避ける等、段階的な活動再開の要望がありました。

そして、解除されたからと言って、すぐに緊急事態宣言前の状態に戻るのか?
ご想像の通り、残念ながら、すぐに元通りとはいかない様子です。

先月号で、家主業のコロナ対応策をテーマにご紹介させて頂きました。
今回は、もし、所有物件の入居者が感染したらどうすれば良い?
入居者の収入が減少し、家賃減額を申し入れられたら?
というトラブル対応をご紹介させて頂きます。

※内容に関しては、記事作成時点(令和2年5月18日)のものですので、その後変更されている可能性もございます。

~コロナQ&A こんなときどうする?~

①入居者(同居家族含む)に感染者がいる場合、他の入居者へ告知する必要はあるのか?
これは、旅館等、宿泊施設における対応について、
厚生労働省通知では、他の宿泊者へ通知する記述が無いことから、
現状、感染者の個人情報、プライバシー保護の観点から、
感染者の同意がない限り、告知の必要性はないと考えられます。
最近では、感染者への心無い行動・言動がニュース等で取り上げられ、
感染者本人、同居家族への差別が行われる。
そんな、悲しい事も起こっているようです。

②共用部分を消毒する場合、その費用負担は?
費用負担については、物件の所有者が負担することになると考えられます。
しかしながら、感染者に故意・過失等が認められる場合、その限りではありません。
例えば、感染しているのを知っていながら、むやみやたらと出歩き、
そこかしこを触ったりする行動は当然ながら、責任を問われます。

③賃貸借契約締結後、コロナの影響で解約になった場合。
この場合、キャンセル料の支払い、すでに支払い済の契約金等の返金を、契約者から要求される可能性があります。
しかしながら、緊急事態宣言によって転居が法的に禁止されている訳でなく、
事実上、転居を見合わせているに過ぎないと考えられます。
そして、無条件で契約のキャンセルができるという法的根拠もありません。
なので、賃貸借契約書に定めた通りの対応になります。
 ※借主側の事情に配慮し、協議することが必要になります。

④(共同住宅の)入居者より、家賃支払いが困難になったと連絡があった。
私が賃料未納で督促をした際、件数は少ないですが、下記の様な相談を受けました。
「コロナの影響で収入がなくて…」と。
こんな時はこう答えます。
「ご事情はわかりますが、簡単に免除はできません。国や県の給付にお手続きの申請をしてますか?」と。
そして、そんな時、入居者へ紹介する給付や貸付が下記の通りです。

● 特別定額給付
ご存じの方がほとんどではないでしょうか。
一律一人10万円の給付です。
マイナンバーカードがあれば、オンラインで申請ができます。
ない場合は、自治体から郵送されてくる書類で申請することができます。
● 子育て世帯臨時特別給付金
児童手当受給者に対し、お子さん1人当たり1万円の給付です。
※手続き不要・所得制限あり
●住居確保給付金
平成27年から始まった「生活困窮者自立支援制度」による支援のひとつです。
離職等により経済的に困窮し住宅を失った、
若しくは失う恐れのある方に家賃相当額を支給するものです。
※原則3か月(最長9か月まで延長可能)
以前からあったこの制度、令和2年4月30日以降は
それまで給付を得る条件とされていた、ハローワークへの求職申込みが不要になっています。
つまり、就業中でも、コロナの影響で収入が減少した方への給付も可能となっています。

~情報を整理して~

先述したように、福岡県を含む39県で緊急事態宣言が解除されました。
しかし、コロナ以前の生活に戻るには、まだ時間がかかりそうです。
そして、それに伴う、様々な賃貸トラブルも発生してくるのでは?
と私達は考えています。
いざ、その時になって慌てることがないよう、
法的根拠、国や県からの給付金等、必要な情報を整理し、活用することができるよう、
日々アンテナを張り、皆様のお役に立つことができるよう精進していきます!