2014年7月号(3)使える!「信託」活用法

以前ご紹介した「信託」を覚えておられるでしょうか。忘れた方のために振り返りから、

信託とは「委託者(財産を持っている人)」が、「受託者(信頼できる人)」に金銭や土地などの財産管理を委託し、「受益者(財産から生じる利益を得る人)」のために、その財産の運用・処分などを任せる制度です。

右の図に当てはめてご説明すると、委託者であるお母さん(A)所有のアパートを息子さん(B)に預け、家賃収入を受益者であるお孫さん(c)に渡す。という仕組みです。

この仕組みは委託者が生きている間だけでなく、終了時期や条件が到来しない限り亡くなっても継続されます。.

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今回はこの信託を活用する方法「遺言信託」についてご紹介させていただきます。

実は現在、実際にこの遺言信託の手続きしようとしている方がおられるのですが、その方には2つの希望があります。

  • アパートを1人に相続させるのではなく、家賃収入を全員で均等に分けてほしい。
  • 時期が来たらアパートを売り、その代金を全員で均等に分けてほしい。

通常の相続でも、誰か代表者が単独で相続すれば家賃収入を分けることは出来ますし、兄弟全員の共有名義にすれば、売却代金を分けることだって出来ます。ただし、そのどちらも安易に実行してしまうと往々にして揉めます。

なぜなら毎回意思決定や契約手続き、さらに印鑑証明書等の提出が必要となるからです。信託には、そんな揉める理由を取り除ける可能性がある、次のような効果があります。

 

  • 受益者の利益を守るための「倒産隔離機能」があるので安心。

代表者が「相続」した場合、その代表者の経済的破綻により、財産を失う危険性がありますが、「信託」の場合、財産は受益者のものなので債権と切り離されます(債権者も手を出せません)。

 

  • 受益者の指定や、受益権の移転を制限できるので財産の拡散を防げる。

遺言でも指定できない二次相続時の相続人(受益者)指定や、共有で相続した後の持分譲渡にあたる「受益権の譲渡・分割」を禁止できます(共有者が際限なしに増えるのを防げます)。

 

  • 税務上、受益者全員が所有者となるため、税負担が1人に集中しない。

誰か1人の負担ではなく、受益者全員に課税されます(相続税自体の節税効果はありません)。

 

  • 受託者一人の手続きで契約・売却などができ、スムーズに目的を叶えられる。

共有名義にした場合、売却時の手続きは全員で行わなければいけません。特に二次相続が発生すると厄介ですが、信託であれば受託者が単独で手続きできます(認知証の受益者がいても可能)。

 

 

あとはこれを遺言書としてどう表現するかです。

内容は目下検討中のため、今は詳細をお伝えできませんが、大事なポイントは、受託者がきちんと引き受けてくれるかどうかです。

付言で想いを伝えることはさることながら、信託内容をよりシンプルに分かりやすくする必要がありそうです。また、受託者から「引き受けたくありません。」と言われないように事前の見極めや、意思疎通を図っておくことも非常に大切です。

この遺言信託がどのようにまとまったのか、今後お伝えできる範囲でご報告していこうと思います。