2014年11月号(2)知らぬと怖い外壁塗装の注意点

matsuo-150x150今回は建築後、大体15年~20年で行うことになる物件全体の塗装工事について見ていきます。高額な工事ですが、施工業者の選定を誤ると数年で劣化が目立ってくるようなケースがあります。社有物件を持っている当社もオーナーの立場としてそのような施工は許せません。そこで、手前味噌で恐縮ですが数百件ほど担当させていただき、目が肥えてきた私?が知っている注意点をお伝えします。(管理部:松尾)

 

 

見積りについての注意点

当たり前ですが、まず地元の取引業者さんAに見積りを頼みます。最近は他県の業者さんも営業に来ていますが、遠方のためアフターフォローも期待できませんし、やりっぱなしになる恐れがあります。

話題を戻しまして、見積りが出たら漏れがないかをチェックします。そしてリニューアルの視点で通路や階段部の長尺シート貼り、ゴミ置き場やブロック塀の洗浄・塗装など見落とさないよう注意が必要です。

また、結構高い足場を組むのですから屋根も忘れてはいけません。これらをチェックした上でAさんには申し訳ないですが、相見積りを取ります。この際にあくまで同じ工事内容でなければ意味がありません。

 

 

施工での注意点

さて、いよいよ工事ですが「実際にどういう工程で具体的に何をするのか」を知っておくと注意点がわかります。

 

【鉄部】

テスリや階段、配電ボックス、玄関ドア枠など鉄部で重要なのはケレン作業(サビ落としと、表面に凹凸をつけて塗料が乗りやすくする)です。これをしっかりとやっておかないとすぐに サビ浮や塗装剥がれの原因になります。ここが手抜き工事のポイントで注意が必要です。

hirahara-1[1](ケレン作業)

 

【外壁】

外壁部ではまずクラック補修を行います。現在「Uカットシーリング工法」が主流になっています。以前はヒビ割れの上からシーリングを塗るというパターンでしたが、これでは表面を塞ぐだけで内部に浸透しません。現在では、あえてヒビをサンダーでU字型に削ることで、シーリングをしっかり注入する方法を採っています。

gai_ucut2[1](Uカットシーリング)

 

クラック補修が完了したら高圧洗浄をかけて汚れを落とします。この高圧 洗浄もしっかりかけておかないと、汚れが浮いて来たり剥がれの原因になります。

そしていよいよ塗装ですが、これは最低「2度塗り」が常識です。塗装の厚みが違いますし、耐用年数も上がります。

見積が安いというだけで頼んでしまうと、業者によっては「1度塗り」だけです。

 

施工後は私も1度塗りか2度塗りかはわかりません。実際に工程を見てチェックするのが一番です。

また、瓦・屋根の塗装についてもカベ塗装と基本的に同じ工程です。

このように、高圧洗浄と2度塗りのチェックが抑えるポイントです。

 

防水工事

屋上の防水は「シート防水」、「アスファルト 防水」、「防水塩ビシート」が一般的です。広い範囲の防水に適していて、いずれも10年保証がつくはずなので確認が必要です。

バルコニーのような狭い範囲や形が複雑な場合は「ウレタン防水」を塗ります。乾くと薄いゴムみたいになります。ただ、ウレタン防水はこのままでは弱いのでトップコートを塗布して保護します。これも2度塗りすると耐久性が上がります

 

最後に

塗装工事は入居率にも直結する高額で重要な工事です。オーナー様にとっては子供の様に可愛い財産です。実施する際は、ただ単にリフォームという意識で元の状態に戻すという視点ではなく慎重に検討し、リノベーションという視点で時代にマッチするよう大胆に行った方が後悔しません。

今回ご紹介したポイントを知っているだけでも、営業に来た業者さんに少し突っこんだ質問ができ、「このオーナーさんはあなどれない」と思わせることができます。

知っていることで見る箇所が違ってきます。

どうぞ今回ご紹介した内容を交渉のネタにお使いください。

また、改装案そのものについてのご相談も遠慮なくお声掛けください。