2015年12月号(2)知らなきゃ損する中古住宅への支援

日本における全住宅流通量(中古流通+新築着工)に占める中古住宅流通は15%弱。中古が7割~9割を占める欧米と比べて極端に少ないのが実情です。

人口減、環境問題、資源・エネルギー問題が深刻化する中で、既存の住宅が循環利用されるストック重視型社会を目指そうと早くから叫ばれているのに・・。

実際にまだまだ住めそうな空家が古屋付「土地」として売りに出されているのを見ると、もったいないなと感じます。これを壊して新築を建てるのではなく、次に住む方がリフォームして住み続ければ社会経済的にも損失がありません。

なにより住む人によって形を変え建物が生き続けることが理想的に思えます。

しかし一般の消費者は中古住宅に対し、不安を感じることが多いのもまた事実です。よく挙げられるのが「(耐震性を含め、)建物の状態がわからない」ということです。

そこで今回はこの点について、「知らなければ損する!絶対お得な国や市町村の取り組み」をご紹介します。

キャプチャ

 

 

【耐震改修工事に対する補助金】

近年、国内各地で比較的大きな地震が頻発しています。福岡でも平成17年、マグニチュード7の大地震がありました。それまで経験したことのない揺れに恐怖を感じた方も多かったのではないかと思います。

地震に耐えられるか?中古住宅を購入する方が不安に思うのももっともです。下の表は耐震改修工事を行う場合の近隣の市の補助金制度を比較したものです(補助の対象になるか否かの詳細は事前に各市や施工会社にお問合せください)。

なお国交省によると、地方公共団体における耐震改修促進計画の策定状況は、都道府県が策定済100%、市区町村が同96.4%にものぼります。また補助が受けられる市区町村数の割合は、耐震診断が85.3%、耐震改修が80.3%とこちらも高い数字です。

ストック重視型社会の実現に向け、いまや全国的に地方自治体の取り組みが活発化しています。

尚、みなさんが補助金を申請するのはお住まいの市町村です。ただ実際には補助金の一部は県から出ています。福岡県は上限30万円の範囲内で、市町村に対して補助をしてるのです。いわば間接的に個人の耐震改修工事の補助を行っているのです。

ところでなぜ「昭和56年以前3月31日以前に建築された住宅」という条件がつくのか?それはその日までが旧耐震基準に基づいて建てられているからです。

現在の新耐震基準に比べ建築時に求められる強度等が弱く、そのような建物の工事を推進することこそが中古住宅に対する消費者の不安を解消する目的に合致すると言えます。

なお耐震改修工事を行った住宅で一定の要件に該当すれば、固定資産税の減額や所得税の軽減も受けられる場合があります

 

 

【建物の状態がわからないという不安には】

耐震性への不安とともに、建物や設備について見えない部分がどんな状態なのか?これらがわからないということも中古物件の購入をためらう大きな理由です。売主は買主に「告知表」や「設備表」という書面で、売主にしかわからない情報を提供します。

しかしこれはあくまで売主が把握している内容ですので、必ずしも実際の状態を正確に伝えているとは限りません。

そこで売却前に建物調査(インスペクション)を実施することで、売主はより正確な情報を買主に伝えることができるようになります。

例えば、構造上安全か、雨漏りなどに対する防水性が損なわれていないか、給排水設備やその他の設備機器が日常生活で支障なく使用可能かなどについて、目視や計測により専門業者や有資格者が審査します。

福岡県では、『住まいの健康診断』という制度として県と福岡県宅建協会がインスペクションを行っています。インスペクションにかかる費用のうち県と宅建協会が通常の検査費の1/2を補助します。

インスペクションにより、買主は建物のより詳しい状態やリフォームにかかる費用を把握でき、売主は買主の不安を解消することで、結果的に早期売却の可能性が高まります。

平成23年度にスタートして以降、これまでに建物検査延べ538件を実施し、利用不動産事業者数は290社以上にのぼります。

どちらも年々増加しています。

今後、中古住宅流通の活性化を目指すうえでますます利用価値の高い制度になっていくでしょう。なおこの調査のオプションには耐震診断調査もあります。

その調査を先に受け問題があった場合は、前述の耐震改修工事を行ってください。『住まいの健康診断』を実施した中古住宅の購入の際は、一定の金融機関で金利の優遇等を受けられるほか、購入後のリノベーション工事に対して費用の補助を受けられる場合もあります。

種様々な補助や優遇措置がとられています。今こそ検討すべき時ではないでしょうか?