2015年7月号(2)味わったインスペクションの必要性

民法改正でより厳しい賃貸に…?

今回の内容はおさらいとはなりますが、賃貸経営の基本部分になりますので、最後まで何卒お付き合い下さいませ。

さて平成10年に国交省から「原状回復におけるガイドライン」が示されていましたが、今度は120年ぶりの民法改正

その中で賃貸の「原状回復」について、いよいよ条文として明文化される予定です。その内容とは「通常使用による損耗や経年劣化は原状回復の請求範囲に含まれない」とのこと。

勿論、壁に穴をあけたとか、ガラスを割った等は故意や過失としての請求は認められますが、ここで問題になるのが先程の追加される条文です。「汚損や損耗があっても、その時点の減価償却費に応じてしか、原状回復費用として請求できない」という意味です。しかも実際の現場では、再募集の際、一日も早く申込を頂こうと、新しくクロスを貼りかえてもいます。

それがさらに減価償却をしてから請求しなければならない…。

「もういい加減にしろ!」と言いたくなります。

例えばタバコのヤニでクロスが汚れいる場合、実は過失による汚損になります。

でもここでこの「減価償却」が適用されれば、クロスの価値は6年間で1円になるのです。100㎡で100円です。そうなると6年以上住んでいればクロスについて過失損耗があっても、請求不可です。

またカーペットやクッションフロアも6年償却です。

今後こういう内容が新聞やニュースなどで執拗に報道されるのでしょう。(ウンザリ)

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「合意の基に」

条文には「強行規定」と「任意規定」があります。「強行規定」とは、条文と異なる内容を合意しても「無効」になるものです。

そして「任意規定」とは「公序良俗に反しない」ものであれば「合意の基に」条文と異なる契約が可能という意味です。

今回、民法に追加される条文は任意規定です。ならば「合意」があれば「通常使用による損耗や経年劣化」でも、借主に「ある程度の負担」を強いる取決めは可能です。

但しあくまで「公序良俗に反しない範囲」なので負担割合について表現や特約文章に留意しなければなりません。

「礼金敷金や家賃を低額に設定している。更新料もなし。

だから借主には民法より厳しい原状回復義務を課している」という感じでしょうか。

いずれにしても残念ながら民法改正後は、今よりさらに風当たりの強い判例が出る…。

賃貸経営の厳しい現実です。精進します。