2015年6月号(2)地域コミュニティが新たな価値を創りだす!?

所有している物件を地域住民との交流の場にしよう。最近、このようなことを考えている家主さんが増えてきているんです。

具体的には、所有物件の共有スペースを入居者だけでなく、地域の方にも利用できるスペースとして開放し、交流の場にするというものです。

 

シェアハウスをはじめとして、コミュニティに注目が集まる中、建物という小さな枠にとらわれず、コミュニティの創造誘致や運営支援という、今までになかった視点を持つことにより、新たな賃貸物件の可能性を考えていきます。

【地域開放ラウンジ付き】

もともと入居者の使用を目的に作られた1階ラウンジを地域に開いた例です。地区の集会や会合などの行事はもちろん、英会話教室やフラワーアレンジメントなどの習い事まで幅広く利用され、地域交流基地となっているそうです。

入居者以外の主催利用は有料ですが、しっかりとした店舗や事務所を構えるよりも、低コストで気軽に教室やセミナーを出来るのが好評なんだそうです。

隣近所の奥様方や高齢者そして若者や子供まで様々な世代が、お互いの趣味や教養を教えあうアットホームでほのぼのとした空間、いわゆる地域コミュニティが誕生したそうです。

コミュニティ①
(仲間と過ごす楽しいひと時…:写真)

 

このようにコミュニティが作られる様になったそもそものきっかけはオーナーの“想い“によるところが大きい様です。老若男女、様々な世代の人が自然な感じでそばにいてほしい。その想いをコンセプトとして、賃貸住宅での企画をオーナー自らがコミュニティのリーダーとして決断したとの事です。

建物を地域に開き、コミュニティ形成を促すことで新たな価値が造り出された訳ですね。

しかしオーナーによると未だこの物件は“未完”との事。その理由は「人が作り出す価値は無限大だから!」だそうです。

コミュニティ③(自由な空間が豊かな人間関係を育みます:写真)

 

身近にあるコミュニティ賃貸…(太宰府発)

以前ご紹介しました㈱誠心さんが運営する「アクラスヴィレッジ」。

ここも地域の中にあるコミュニティと言えます。ここは“社会型有料老人ホーム”と呼ばれ、共用施設を地域住民にも自由開放し、「あらゆる世代が互いに自立しながら助け合って暮らす」というコンセプトのもと、コミュニティ形成に取り組んでいます。

ここでは、お食事処や喫茶店等があり、また無料で開催されているイベントやセミナー、サークル活動等、これらすべてが入居している高齢者の為だけでなく、地域の方も自由に利用参加できるのです。

アクラスヴィレッジ

さらに注目する点は、ここで行われる催し事の主催者が入居者であったり、地域の方々で行われる様、オーナーが補助や支援をする等して、人為的な仕掛け、そしてその実践を支える「理念」を持っていることです。

通常こういったサービス付き高齢者住宅と聞くと、入居者が一方的にサービスを受けるというイメージですが、ここでは社会型の名が示す通り、そのコミュニティに関わる一人一人が主体的に生き、自分自身を感じながら暮らしています。

このように賃貸物件において入居者や地域がコミュニティを形成することにより、その存在価値を造り上げています。

これまで物件改善といえば建物や設備というハードにばかり目が行きましたが、今後はコミュニティが与える価値もそれと同等に重要になります。

コミュニティ形成に必要な仕掛けを企画コーディネイトする力、いわゆる“コミュニティ・スキル”が我々管理会社に求められる…。

勉強せねばなりません!