2015年10月号(2)Cool!…カッコよさも進化?~持続可能なヒントとは…?

先月、片山と私・野田でドイツ・フランスのエコツアーに参加しました。「旅行に行けて羨ましいねぇ~」というお叱りの声が聞こえてきそうなので、あえて最初にお断わりします(笑)。研修メインなので、一流ホテルに泊まる観光旅行とはほど遠く、格安チケット&宿泊場所はユースホステルやエコホテル。当社青山が許すハズないですから(笑)。おまけに毎晩遅くまでのレクチャーで自由時間もない、アンビリーバブルな旅でした…。

今回のツアーに参加した目的、それは時代の先取り、社会の未来を「体感する」という事でした。私が学んできた街づくりの様子や肌で感じた体験を、今回満室委員会の記事にしたいと思います。最後まで私のつたないアウトプットにご協力下さい <(_ _)> 。

 

 

 【中世の街並みが残るフライブルク】

さて、最初に訪れた街は、ドイツ南西部の都市フライブルクという人口約22万人の都市。石畳の歩道広がる市街地には、今なお中世の街並が残っていました。

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また1513年に完成した高さ116mのミュンスター大聖堂はフライブルク市のシンボルで、フライブルクの東側には「黒い森」と呼ばれるシュヴァルツヴァルトという森林が広がっています。

ツアー初日からフライブルク在住の環境ジャーナリスト村上敦さんと一緒に、この森林内を歩き講義を聞く貴重な機会から始まりました。

フライブルクの市街地ですが、市民の移動手段はもっぱら自転車やバスあるいは「トラム」と呼ばれる路面電車で、驚く事にマイカーやタクシー等の自動車が市の中心部に入ってくる事は、一切禁止されていました。(◎_◎;)

 

 

【市民の環境意識の高まり】

なぜ市街地への車乗り入れが禁止されたのでしょう?その理由は今から50年前にさかのぼります。1960年代、フライブルクでもマイカー人口の増加により交通渋滞が問題となっていました。

また排気ガスによる大気汚染や酸性雨により、シュヴァルツヴァルトの森が枯死化し、いよいよ事態は深刻となっていきました。

更には人口急増に伴い、ついに1970年代にフライブルク近郊での原発建設が持ち上がりました。しかしその反対運動がきっかけとなり、市民の環境意識は劇的に高まったそうです。実はドイツを始めとするヨーロッパ諸国はライン川を通して隣国に繋がっています。

ドイツの工場で川に汚染水を流すと、他の地域や隣国に被害が及んでしまうという地理的な面もあった為、お互いに環境問題の解決は急務だったのです。

とは言え、メルセデスベンツやBMWを始めとする、世界有数の自動車メーカーを誇るこのドイツで、自動車の乗り入れ規制が既に40年前から検討されていた事に、本当に驚きました。

 

 

【「反アマゾン法」や「食品廃棄を規制する法律」】

フランスでは、少し前に「反アマゾン法」やスーパーでの一定量の食品廃棄を禁止する法律が全会一致で可決しました。「反アマゾン法」とは、街の個人書店というコミュニケーションの場や文化を守る為の法律で、食品の廃棄を禁止する法律は、売れ残った食品の内まだ食べられるものについては、慈善団体に寄付するか、家畜の飼料や農業用の肥料に転用加工する!という法律です。

実は日本では、年間輸入される食品の約1/3が廃棄されており、処理にかかるコストも年間2兆円になるそう。

ヨーロッパでは政治主導でこのような文化や環境を守る法律がどんどん創られているのです。便利なアマゾンを利用しない事や食品の大量廃棄を禁止する事が、いまだ経済至上主義の日本で、はたして可能でしょうか…。

そう言えば…!あの2007年アカデミー賞授賞式にディカプリオがプリウスで登場した事で、エコカーへの注目は一気に高まりました。当時それを見て、単なる有名人の流行物好きとしか思えませんでした。

しかしその後、アメリカのセレブ達の間でも、燃費の悪いリムジンを選ぶのではなく、環境に配慮したエコカーを選ぶ人が増えてきているようです。

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これは即ち「自分の見栄や欲だけを満たそうとする人 = 頭悪そう」「相手や周囲、環境を思いやれる人 = cool(クール)!」という価値観に変わって来たのだと思います。確かにいくら素敵な俳優さんでも、今どき常に排気ガスをまき散らす様な車に乗ってたら、正直、幻滅してしまいますよねぇ。

 

 

【CSVという考え方】

そこで以前、満室委員会で紹介したCSV(右上図参照)という考え方です。つまり中長期的な視野で、社会的意義のある経済活動を行う思想です。(受け売りの難しい表現ですいません。)

CSV

ドイツで私達が見てきた社会はまさにこれら実践の産物ではないでしょうか。ドイツ・フランスでは市民、行政、企業が一体となってCSVを実践しようとしていると感じました。(でも先日のVW社の事件には…。)

人間や社会にとっての成長発展は必要ですが、過去の日本や今の中国の様に、物質的な急成長や大量消費に対応する利便性や経済至上主義でなく、持続可能な適度な成長と、それを可能にする環境に配慮した社会システムや価値観が、日本でも必要になっている気がします。

そう言えばちょっと前に流行した里山資本主義…。この本もそんな内容を訴えてた気がします。

ここまで偉そうに書いてきましたが、頭で分かったつもりでも、私はまだまだ整理がつきません。

「暗黙知から形式知へ。」

その一環でこの満室委員会も書いてますが、既に頭はウ二…((+_+))。

今後も感じた事を引き続き言葉や文字にしていきます!ご指導の程お願いします。