2016年3月号(3)相続による空家売却で3,000万円特別控除が使える!?

相続による空家売却に3,000万円控除が使える!?

相続後3年以内の空家を所有されている方に朗報です!右ページ記載の適用要件を満たす空家を平成28年4月1日から平成31年12月31日の間に売却すると、相続して取得した家ならば、自分が住んでなくても3,000万円控除が使えます!今回は相続空家3,000万円控除のご紹介。
さて、既に紹介しています空家の増加問題。ご存じの方も多いと思いますが、この背景として建物付の土地には、固定資産税の軽減がありました。建物を解体して更地にすると、その土地の軽減措置がなくなり、翌年から固定資産税が6倍になります。

<上図参照>右の例の場合、空家を解体更地にすると翌年から固定資産税が10万円も上がります。私が所有者だった ら、解体するのをためらいます。(@_@;)
解体費用がかかる上、固定資産税も上がるとなれば無理して解体せず、放置しておけば荷物の整理を急いで行う事もなく、しかもお金は不要に。この様な心理での空家増加を防ぎたい政府は、売却を促すために特例をもうけます。それが2016年の税制改正で「居住用3,000万円控除の適用対象を条件付で空家にまで認める」というものです。
固定資産税計算図
では今まではどの様になっていたかというと…

譲渡価格(※1)-取得費(※2)-諸経費(※3)=譲渡所得(※4)

(※1)不動産を売却した時の価格。

(※2)不動産を購入した時支払った価格。購入した当時の売買契約書や領収証が必要で、それらが無ければ取得費は譲渡価格の5%に。

(※3)不動産を売却した時に要した経費。仲介手数料、売買契約書に  貼付した印紙代、登記費用や測量解体費用等。

(※4)資産を有償譲渡することにより得た所得。但し建物には減価償却あり。所有期間に応じ所得税・住民税が課せられる。

これまで、売却した不動産が自己居住用の場合には3,000万円控除が   使え、自分が住んでいなかった不動産では、3,000万円控除の適用はありませんでした。また、取得費が大きければ譲渡所得を下げる事ができましたが、相続した時点で取得費不明の場合、取得費は譲渡価格の5%に、残る95%が所得とみなされ、譲渡所得だけでも馬鹿になりませんでした。
では、最後に3,000万円控除の適用要件を確認しましょう。

<相続した空家で3,000万円控除を適用できる要件>

①相続開始開始直前まで被相続人の自宅 (相続発生で空家となった)。
②その家屋は昭和56年5月31日以前に建築された建物である事。
③マンション等は対象外
平成28年4月1日から平成31年12月31日の間の売却である事。
⑤相続発生時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却である事(つまり、平成25年1月2日以降に発生した相続である事)。
⑥売買金額が1億円を超えない事。
⑦相続発生時から売却までの間に、事業・貸付・居住の用に供されていない事。
⑨役所から要件を満たすという証明書等の書類を入手し、確定申告に添付して申告する事が必要。

以上が要件となります。この特例を使う為には、上記の要件全てに該当しなければなりません。物件に制約があるものの、適用となれば下記事例の場合、最大で600万円もの減税に。該当する空家を相続された方は、ぜひ今年の4月1日を待ってから売却を進めて下さい。

3,000万円の特別控除