2017年1月号(1)生前退位の話題から思いを馳せる  

遺言で出来ない事が出来る。それが家族信託です。

●家族(民事)信託の実用例いろいろ

以前にもご紹介した家族信託。当社でも2013年から取り組み始めていますが、実は実質的に2016年の今年が、この家族信託元年と言っても良かったのではないでしょうか。それぐらい急速に広まっています。

以下にその“使い方”について、その代表例をご紹介します。

1、【認知症対策・資産塩漬け対策】

○高齢の親が認知症になっても、相続対策や資産運用ができるのです。

※ご存じのように認知症になれば、不動産売買や請負契約等の契約行為が一切できません。ですから必然的に後見制度を利用…。でもこの後見制度、被後見人の生活を守る為の制度で、その為の資産売却はできても、資産対策の為の運用や相続対策等は出来ません。だから意思能力があるうちに信託契約の締結が必要なのです。だって認知症になってからでは、この信託契約もできなくなりますので、選択の余地が後見制度しかなくなるのです。

2、【受益者連続信託】

○自分が死んだら妻に遺産を残して生活を保障したい。しかし子供がいないので、妻の死後には資産を本家筋に戻したい…。

※遺言で指定できるのは「自分が誰に残すか」という事で、「残した人は誰々に残すこと」なんて強制できません。ですから、残された配偶者が本人の意思で遺言しない限り、何もしなければ、その遺産はその配偶者の親や兄弟に流れる事になります。

しかし家族信託を利用すれば信託発行後、30年間は財産の引き継ぎ先を指定できます。「1番目は配偶者。そして2番目は甥や姪へ。その次は…」という具合。またそうする事で配偶者を守った後に本家の財産として残せるのです。

それにまた「妻が認知症になったら、その資産を受託者に使い込まれる心配もあるのでは?」という心配も残るかと思います。そこで『信託管理人や信託監督人の活用』もできるのです。資産運用を任された人(受託者)が資産を適正に扱っているかを、この信託管理人や信託監督人が監督します。

3、【自社株事業承継信託】

○将来は息子に株を渡すが、今はまだ自分の所有にしておかなければ心配…。かといって自分の認知症対策も…今のうちにお試ししておこう。

※後継者は息子と決めていても「まだまだ人生経験や修業が足りない」「私の意に反するような経営をされては困る」。このような心配は尽きませんよね。そこでこの信託契約を結ぶことで、実質的な経営は息子さんに任せますが、議決権や所有権を持ったままにも出来ます。つまり後継者の育成をしながら、実質的な株の支配を行い、しかも自分が認知症になった場合の対策も出来るのです。もちろんその後の後継者指定という承継対策も織り込めます。

以上よく聞く代表例をご紹介しました。これらの他にもまたまだいろんな使い方が考えられます。お気軽にご相談ください。一緒に考えていきましょう。

●2016年に最も強く印象に残ったこと

2016年8月に天皇陛下が“生前退位”について、ビデオメッセージでお気持ちを表されました。

『私も八十を超え、体力面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。(中略)これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解を得られることを、切に願っています。』

%e3%81%98%e3%81%84%e3%81%95%e3%82%93%e3%81%b0%e3%81%82%e3%81%95%e3%82%93%e3%83%bc%ef%bc%92

「生前退位」について、おこがましくも私の考えをお伝えしようなんて思っていません。ただ天皇陛下のこのお言葉に、先祖から引き継いできたものや、紡(つむ)いで行くことの大切さ。そしてその願いや不安等、元気な今のうちに、これらにしっかりと道筋をつけておく事こそが、自らの責任を果たすこと、先祖への恩返しともなり、また未来へとつながって行く基礎なのだと、そんな事に想いを馳せた次第です。

更にここで、自分自身の今や与えられた仕事を考えた時、皆様のアパート経営や資産活用、そして相続相談等でも、まだまだお役に立ててないと感じました。

着実で確実な空室対策を今まで以上に行い、日頃から満室経営を目指す事はもちろん大前提ですが、遺言はもとより家族信託の活用にも熟練する事で、“モノ(アパートや建物)”だけでなく皆様の“想い”を繋ぐお手伝いができれば、私自身も光栄です。

どうか何なりと、小さなことでもご遠慮なく、そしてお気軽にご相談いただければ幸いです。

%e3%83%90%e3%83%88%e3%83%b3