2017年7月号(2)2022年問題…宅地の大量供給!?

団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となる「2025年問題」は有名ですが、今回の満室委員会は、不動産業界で話題になっている【2022年問題】についてです。

初めに「生産緑地」とは何か・・・?

2022年問題を説明するにあたり、まず「生産緑地」について説明する必要があります。主に三大都市圏における急激な宅地化を抑制するため、1992年生産緑地法が改正されました。

改正生産緑地法では、一旦自分の土地が「生産緑地」に指定されると、30年間の営農義務が発生し、基本的に建築物を建てるなどの農業以外の行為は制限されます。その代わり、固定資産税が宅地の 約200分の1と農地並に軽減されるほか、相続税の納税猶予を受けられる大きなメリットが与えられました。

生産緑地看板写真

2022年問題による市場への影響

実際のところ、当時の農地所有者の中には固定資産税が高くなることを避ける目的で、とりあえず「生産緑地」指定を受けたケースも多かったようで全国219の自治体に約13,000ヘクタールを超える「生産緑地」が誕生しました。しかし…この法律では、「生産緑地」指定後30年が経過すると、指定が切れ「市町村へ買取り申出ができる」となっています。

最初の指定が1992年でしたので、その30年後、つまり2022年にこの期限がくることになります。現在の市町村の財政状況を見渡すと、現実的にこの「生産緑地」を買取ることは難しいでしょう。

するとどうなるか?生産緑地の解除にともなう固定資産税の急激な上昇により、保有しきれなくなった所有者たちは「生産緑地」を次々に市場に売却することが予想されます。

当然、建築会社や不動産会社、マンションのディベロッパーらによって開発や分譲が行われ、2022年以降、新たに新築物件の過剰供給が進む可能性があるのです。

これが現実になれば、深刻化している空き家問題にさらなる拍車をかけることになります。しかも、2022年といえば東京オリンピック開催の後でもあり、その後の2025年問題へとも続き、そもそも不動産価格の低下が既に指摘されています。

2022年問題に端を発するこの地価下落は、なにも三大都市圏だけの問題にとどまらず、全国的に波及すると断言する方さえいます。なんてたって、約4,000万坪近くの土地が一挙に市場に出れば、札幌や福岡に影響ない訳がありません。

ですからこの2022年問題を踏まえ、とある資産運用コンサルは、既に保険商品での資産活用を提案してます。資産価値の下がる不動産を避け、代わりに保険活用を選択する方が安心だと…。それでは私達も困りますが(-_-;)

空家写真

市場の混乱を避けるために…(政府の対応)

そこで2017年の本年、市場の混乱を防ぐため、また都市内の農地評価の高まりを鑑み、いくつかの生産緑地法改正案が盛り込まれています。30年の期限がきた農地の中でも、市町村が特定生産緑地として指定したものについては、買取りの申出時期を10年間先送りするという制度です。

これにより、30年経過後の買取りの申出を減少させ、農地保護機能の強化を意図しています。一方、所有者にとっても、買取り申出までの期間が延長された結果、固定資産税減額の効果も延長されます。また面積要件や建てられる施設の制限を緩和し、生産緑地を増やすことで、転用されずに維持される農地を増す狙いがあります。

以下、改正点を表にまとめました。

生産緑地改正図

他方、空家・空地問題も存在する中で、都市農地についても、自然とのふれあいやコミュニティづくり、あるいは災害時の避難場所など多くの機能が期待されています。

そのためには国や自治体としても、農地が一挙に市場に投入され開発されるのを防ごうという主旨の様です。議論動向について、注意を払う必要がありますね。