2017年4月号(1)敢えて…D.I.Y~入居者とオーナーで創る夢空間

先々月号でご紹介した“DIY賃貸”ですが、今月号でも引き続き同じテーマと致しましたm(__)m前回では、改装費がかかりそうな空物件を入居者自身の負担と労力で創らせるというコンセプトのもと、家賃低めで貸し出すDIY賃貸をご紹介しました。

今回は「入居者と二人三脚でDIY」に取り組んでいるオーナーのお話です。そのオーナーは、敢えてDIYしやすい環境を整え、改装費用も援助しているとのこと。所有物件の築年数もかなり古く、立地も悪い環境でありながらほぼ満室状態というのです。

しかも従来のお部屋の形状そのままをリフォームして賃貸をしていたこれまでと比べて、やや高い家賃設定で決まっているのです(゜_゜)!

もちろん改装費の援助を行っているのですから、家賃を高くするのは当たり前だ!と思われるかもしれません。でもなかなか家賃を上げられないこのご時世でお部屋の申込みを頂けるのはすごいことだと思います。

では入居者は何に対してその高い家賃を払っているのでしょうか?それは、DIYによって生み出される入居者自身が創った価値に対してです。

具体的に言うと、例えばアパートを長期融資を受けて建てるとします。何とか融資を完済させ、ようやく実入りが多くなる状態になりました。しかし既に長い歳月が流れ、建物の築年数や設備も古くなり、いつの間にか入居率が落ちてしまった。

また入居促進のため大金をはたいて流行のリノベーションをしたが、マーケティング不在で企画したため、お客様のニーズに合っていなかった等々…。

どうせ使うお金なら、入居者の意思に任せて設備や内装を施し、入居者自身が生み出す付加価値(こだわり)に投資したほうがいいのではないか?という考え方なのです。もしこの付加価値が創れれば、築年数、立地、設備はもはや大きな問題ではありませんし、長く住んでもらえる大きな要因にもなります。

①ビフォー ①アフター

さらにこのオーナーは、DIY賃貸の入居者同士のつながりを創ろうとしています。入居者同士のパーティはもちろん、お互いのDIY部屋自慢会や新しい入居者のDIY部屋作成のお手伝いなど、DIYを通じて集まった者だからこそ共感できる催しを開催しています。

ビフォーアフター

そのことにより、建物が住むだけのものではなく自分たちのやりがい、生きがいへと繋がっているようです。

そして何よりこの「DIYは楽しそうだ、面白そうだ!」という雰囲気は、そのまま広告塔になり友人や知人へと広まり、高い入居率を残しています。このコミュニティもまた他物件との差別化になっています。どんな物件でも活かす方法は必ずあります。

DIY コミュニティ

入居者とオーナー、双方の力で実現する「付加価値」が建物に新たな価値を吹き込む。

こんな実力をつけたいものです。