2017年6月号(1)水についての豆知識

水についての豆知識

Tvや新聞で食品の異物混入や中毒事件が度々報道されています。最近でも海苔が原因での集団食中毒がありました。このような社会情勢のなか一般的に「口に入れるもの」に対しての意識が高まっています。賃貸では「食」はあまり関係ありませんが「飲用水」はそういうわけにはいきません。実際、入居中の方はもとより、お部屋探しのお客様からも「水質検査をしてますか?」と聞かれることが増えています。

そこで今回は飲用水の供給について法令や設備について書かせて頂きます。ここでは賃貸物件で多く見られるパターンについて取り上げます。

供給パターン

(下図は左側直結、右側受水槽経由)

aaa

図は公共水道(以下、単に水道とする)本管から直接建物に供給する場合と受水槽を経由する場合のイメージです。井戸水でもほぼ同様です。受水槽を経由するのか、水道か井戸か、また建物の規模などで法令・条例を基に供給方法が決まります。そして供給法方によって法的義務が生じてきます。

では、どんな義務があるのか?

法的義務のあるなし

まずは法令について。井戸水で100人を超える人に水を供給する場合、または一日の使用量が20トンを超える場合は「専用水道」という扱いになり、かなり厳しい法的義務(大規模マンションやホテル、学校などが該当します)があります。次に水道で受水槽の容量が10トンを超えると「簡易専用水道」という扱いで以下の義務があります。

①1年以内ごとに1回検査(外観、水質、書類)を受けなければなりません。

②1年に1回貯水槽の清掃を行わなければなりません。

この「○○なければなりません」という言い方が「義務」を表しています。具体的には専門業者に依頼して「清掃・検査を定期的に実施しなければならない」という事です。これが10トン以下ならば「○○するよう努めなければなりません」といういわゆる「努力義務」になります。整理すると(下表参照)

法的義務あり 法的義務なし
井戸水で100人超に供給又は一日20トン以上供給(受水槽関係なし) 水道・井戸ともに直結の場合
水道で10トン超の受水槽あり

(井戸水の場合規定なし)

水道で10トン以下の受水槽

(井戸水の場合規定なし)

つまり「専用水道」と「簡易専用水道」が法令で規定されています。これに各地方公共団体が「条例」を付加していきます。専用水道のように大量の水を供給する場合は義務付けも仕方ありませんが、受水槽を10トン以下にしたり、そもそも設置しなければ清掃も水質検査もしなくていいのでは?と疑問がわきます。

実は建築基準法では「○○の場合は受水槽を設置しなさい」という規定はありません。ならば何故受水槽が設置されているのでしょうか?それは、ほぼ市町村の「条例」 によります。

(下写真は受水槽清掃ビフォー・アフター)

b_chosui_003[1]

この辺りだと福岡市以外は3階建て以上の建物なら受水槽を設置しなければなりません。水道本管が50ミリ径しかなく3階以上に水を上げるには、圧力が足りないためです。

それで一旦受水槽に溜めてから、ポンプで加圧することになります。

受水槽の容量については配管の長さや収容人数などで複雑な計算の基に規定されているため、その後の変更は難しいようです。