2018年02月号(2)インスペクション実施状況の告知義務化により…

2016年5月宅地建物取引業法改正案が国会で成立し、2018年4月以降、中古住宅取引では、インスペクション(住宅診断)の実施状況の告知が義務付けられます。

今回の満室委員会では、インスペクション実施状況の有無によって、今後の中古住宅取引がどう変わるのかについて説明します。

 

今更ですが、インスペクションとは・・・?

既にご存じの方も多いと思いますが、インスペクションとは、売主・買主・仲介業者ではない第三者機関が、住宅(マンション)の建物状況を簡易診断することをいいます。診断調査項目には、建物の劣化状況・欠陥箇所の有無・改善が必要な箇所などがあり、それらの改修時期や費用などは報告書にまとめられます。インスペクションを受ける事により、買主側は事前に物件の

状態を知った上で安心して中古住宅を購入することができるようになりますし、売主側にとっても売買契約後のトラブルである瑕疵担保責任の不安を解消できるメリットがあります。

これまで日本では、新築、中古を含めた住宅販売の中で中古住宅の流通 シェアが欧米諸国に比べ極端に低い状況でした。また近年、急増していると言われる空き家対策の面からも、中古住宅市場の活性化が叫ばれてきました。

中古住宅流通活性化は、国の大きな課題であり、法改正をきっかけにインスペクションを広く知らしめ、中古住宅の品質を高める事で中古住宅流通活性化を促進させたい狙いがあります。

 

インスペクション実施状況の告知が義務化されると・・・

日本でもこれまでにインスペクションはありましたが、調査費用などの面から積極的に導入されてきませんでした。しかし2018年4月以降、中古住宅の売買に関して「インスペクションの実施状況を告知する事」が義務化されると、中古住宅やマンションを売買する時その物件が「インスペクション」を受けた物件なのか、未実施の物件なのかを契約書の中で明確に告知する事になります。

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但し、2018年4月以降、全ての物件がインスペクションを実施しないといけない訳ではありません。インスペクションを実施してなければ、契約書に「未実施」と記載すればよいのです。しかし、インスペクションの存在を知らずに物件を購入していた方々にも、今後インスペクションの存在を伝える事に他なりません。そうなると、中古住宅市場ではその物件がインスペクションを受けている物件かどうかで買主の物件購入の判断基準が変わってくる可能性は十分にありえます。もしかすると、インスペクションを実施してない物件は、それが理由で買主の候補から除外される、そんな時代になっていく事だって考えられるのです。

 

今後の中古住宅市場と賃貸市場

これまでの中古住宅市場は、構造や築年数、間取り等である程度価格が決まっていました。それが今後、建物の性能やメンテナンス状態と言った「質」の部分を重視する価格設定に移行していく事が考えられます。そうなる事は、結果的に日本の中古市場に「質」の良い中古住宅が増えていく事につながります。よって、中古住宅の流通が促進され、ストック活用の流れが今後増々増えていくと予想されます。

今後誰もが安心して中古住宅を購入できる事、また日本の中古住宅の質と取引環境、適正価格での中古戸建の流通が増える事が望まれています。建物の建築確認通知書や建築図面、リフォーム修繕履歴等の書類があるかないかで、物件の価値が大きく変ってきますので、皆様もこれらの書類は大切に保管を!

とここまで売買中心の話をしてきましたが、実はこのインスペクション実施状況の告知は、今年4月以降、賃貸物件仲介時も義務化されます。売買同様、賃貸物件についても、仲介時の重要事項で説明しなさいという事です…但し、先述した通り、インスペクションをしなければいけない訳ではなく、していなければ「未実施」と記載する必要があります。

例えば大手法人の賃貸契約の場合等、このインスペクション済みかどうかが物件選別の条件に追加される可能性もあります。

優良会社の法人契約限定で、今後皆様にインスペクションをお願いする事もあるかもしれません。その時は宜しくお願いします。

インスペクションの重説記載