2018年03月号(2)バブル期購入、売ったら大損!? 買換え諦めてませんか?

へ~!そんなことが出来るのか!という特例を耳にしましたのでご紹介。30年前のバブル期に自宅を購入したサラリーマンのYさん、子どもたちも巣立ったあと、広すぎる我が家を売却し少し小さめのマンションを購入することに。しかし悲しいのは当時の購入価格と今の売却価格が全く違うこと。

「こんなに安くなるなんて・・・。」このような話は、同時期に購入された多くの方が当てはまる事例ではないでしょうか。今回のテーマはこの「売却時の値下がり」が有効活用できるんですよ!というお話しです。
単純な自宅売却、つまり売却後に別の不動産の購入などはせず、実家に戻るか賃貸住宅への引っ越しをした場合は、値下がり損の有効活用は出来ません。しかし「自宅を売った後、住宅ローンを使って、新たに自宅を買うか建てるか」これをすることで“損益通算”が可能になり、値下がり損の有効活用が出来るようになります。
損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することを言います。

株式などが一般的ですが、投資を行って利益(譲渡益や配当など)が出た場合、その利益に税金がかかります。しかし一方で損失が出た場合には利益からその損失を差し引いた分にだけ税金がかかります。損失が多い場合、最長で3年間繰り越して控除することも可能。

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さて、Yさんの事例ではどうなるでしょう。以下の数字はザックリ数値ですが、この損がどのように有効活用できるのかをご紹介します。

Yさんは年収1200万円の会社員、給与所得控除後の所得金額は1000万円。税金は所得税120万円、住民税80万円の合計200万円です。購入当時4000万円した自宅の売値は1000万円、3000万円の値下がりです。しかし税務上は“減価償却分”を差し引いた額が原価となるため、2000万円減価償却とした場合、原価2000万円(購入価格4000万円-減価償却2000万円)-売値1000万円で、値下がり損は1000万円です。

さて売値1000万円の内、500万円は預金、500万円を自己資金にして、住宅ローン500万円(全額自己資金では損益通算が使えません)を組み、近所の中古物件を買います。マンション売却なら同じマンション内の別部屋もアリ。「売ってから買う」でも「買ってから売る」でもOK。「偶然にもお隣が売りに出た」なら、まず買ってしまってから売るのもありです。

すると売却年の所得は、1000万円(所得金額)-1000万円(値下がり損)で、税務上【所得ゼロ】です。ということは当然ですが、
所得1000万円に掛かっていた税金200万円もゼロになります。源泉徴収された所得税は全額還付、翌年の住民税もゼロに。
さらにそれだけではありません。仮に購入価格がもっと高く、6000万円で購入していたとしたら、値下がり損は3000万円でした。1000万円は初年度の損益通算で使いましたが、まだ2000万円分残っています。この残りの2000万円も翌年以降3年間損益通算できるのです(繰り越し控除)。

翌年は1000万円(所得金額)-2000万円(値下がり損の繰り越し額)=所得ゼロで税金ゼロ。次の年も同様に1000万繰り越し控除できるので、その年の所得もゼロで税金もゼロ。控除額は3年間で合計600万円になるのです。なお、もちろん年収1200万円限定ではありません。例えば年収500万円なら所得金額は約360万円。値下がり損が1000万円なら、3年損益通算できる計算です。得した税金分を預金すれば予期せぬ老後資金、孫にお小遣いならいいおじいちゃんおばあちゃんです。笑
適用要件は①所得があるうちに、②値下がり自宅を売却し、③ローンを付けて購入もしくは新築、④転居し  居住。です。
ポイントは「所得のあるうちに」。定年で所得ゼロになれば損益通算も繰り越し控除も使えません。だから定年退職の前、所得のある現役時代限定なのです。ただし、不動産所得のある方は給与所得と合算で計算できるので、年齢に縛られることはありません。

適用条件があるので注意、①所得3000万円以下②1月1日現在で所有期間が5年を超えている③売却年の前年・当年・翌年に新自宅を購入④期間10年以上の住宅  ローンを組んでいる(わずかでも必要)、です。

なお、引っ越し後3年目までの旧自宅も税務上は「自宅売却」ですので、賃貸に出されて3年以内に解約が出るなら  検討の余地ありです!興味のある方は私田所までご  連絡もしくは顧問の税理士さんにお尋ねしてください☆

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