2018年05月号(1)ご存知ですか?「3カ月以内」

ご存知ですか? 「 3カ月以内 」

相続が発生した時には色々とすることがあります。その中でも『相続手続き』としてまず重要なのは、遺言書があるかどうかの確認をすること。遺言書があればその内容通りに相続するかを相続人同士で決め、遺言書が無ければ相続人同士、ゼロから話し合いで財産の分け方を決めて行きます(遺産分割協議)。

当然、遺言書がある方が短い時間で相続手続きが完了し、また被相続人の意志を引き継ぐことが出来ます。重要なのは、それを決めるのに“期間の定め”があることです。相続が発生した時の原則、それは相続があったことを【知った時から3カ月以内】に【単純承認・限定承認・放棄】のいずれかを選択しなければならないという事。

しかしこのことを事前に知っておかないと、なかなかすぐに決断するのは難しいものです。そこで今回は、この選択の仕方と、その選択をする上で覚えておかないと怖い「負債相続」にクローズアップしてお届けします。

何もしない=「単純承認」

既に相続を経験されている方もおられると思います。そんな方はその当時を思い出してください。相続に関して上記のいずれかを選択しています。しかし大半の方がそんな選択をした覚えはないと思います。それもそのはず、「なにもしない」ことが≪単純承認≫を選択する方法なんです。遺産分割協議書の作成や登記手続きをしたよ!という方は大勢おられると思いますが、これも限定承認や放棄の手続きをせず、単純承認をしましたよという手続きなのです。

 

負債も財産です!

相続するものは、不動産や預貯金などプラスの財産や、目に見えるものだけではありません。うちには財産はないから大丈夫!と言って何もしないと、被相続人が抱えていた「負債」というマイナスの財産を相続してしまいます。

例えば、被相続人が事業をしていて金融機関から借入れをしている場合や、誰かの連帯保証人になっている場合がそうです。そして、3カ月の間にこの「負債」を含めた財産の相続をどうするか決めなければなりません。協議の結果、残された家族ではとても払えない。事業も負債も相続しないでおこう。と決めた時にするのが “相続放棄”の手続きです。

相続放棄を選択すると、その人は相続人ではなくなります。気を付けておく必要があるのが、兄弟など相続人が複数いる場合や、後順位の相続人がいる場合、相続財産がプラスでもマイナスでも、放棄した人の法定相続分を“他の相続人で分ける”ことになります(相続人が3人なら3分の1ずつ、1人放棄したら2人で2分の1ずつ相続)。ですので、債務を引き継がないことを目的に相続放棄をする場合、相続人となり得る全ての人がそのことを分かっておかないといけません。

 

「相続放棄」と「相続“分”放棄」

ここで注意が必要なのが遺産分割協議書です。非常に多くの方が勘違いされているケースに、「財産は全て長男に相続させる」に同意した次男や長女のように、  相続“分”の放棄(譲渡)をしたことを、相続放棄したと勘違いしてしまうケースがあります。実は、マイナスの財産(負債)がある場合は、相続人同士で誰が引き継ぐかを決めても、金融機関など債権者の承諾がないとその通りになりません。
そのことを知らず、遺産分割協議書を作成した時点で相続放棄が完了したと安心しているのです。これでは、「プラスを譲り、マイナスを貰った」だけですので、借金がある場合は必ず、遺産分割協議書の作成とセットで、連帯保証人を外すという金融機関への交渉が必要です。

 

事業承継と連帯保証

相続放棄を選択したとしても、相続人がその債務の連帯保証人になっている場合は別です。この場合、相続人の立場は放棄が出来ても、既に成立している連帯保証人の地位は放棄出来ません。何の連帯保証しているのか、今のうちの確認と、新たに連帯保証人を求められる場合には注意が必要です。

また、よくあるケースに、経営者やその親族が会社の借金の連帯保証人になっているケースがあります。経営者の高齢化が進み「廃業時代」に差し掛かった今、人だけでなく、会社の相続(事業廃業)にも注意が必要です。統計では“経営者の90%近くが倒産・廃業時に自身の財産を失う可能性がある”と言われています。

ここだけの話、銀行は決して教えてくれませんが、国は事業借入れの保証人から、代表者やその家族を外すことを 推奨しているんですよ。皆様の借り入れも一度確認をおすすめします。