2019年9月号(1)続!滞納者を追い詰める!

5月号で滞納が2カ月以上になった悪質滞納者に対する措置を紹介させて頂きました。究極の奥義は、裁判の申立てです。しかし、裁判をして判決をもらったとして「その後にどうすれば良いの?」というのは、正直わからない方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は!その後の手続き、すなわち、実際に建物を明渡してもらうには?滞納家賃を回収するには?といったお話をさせて頂きます。ここで覚えていて欲しいのは、強制執行は大きく二つあるという事です。

~強制執行A:土地建物の明渡し~

裁判所から「被告は土地建物を明渡しなさい」と判決がでたとしても、実際は、滞納者が土地建物を無断使用し続けるケースがほとんどです。この場合、自力救済(裁判等の手続きによらず、権利を実力行使する事)はできませんので、裁判所が選定する執行官に依頼し、強制執行をしなければなりません。その時の流れは下記の通りです。

①裁判ででた判決に送達証明執行文付与を行う。
②執行官に依頼するために予納金を裁判所に納付する。
③執行官の連れてきた業者に現地で残物撤去の見積りをだしてもらう。
④見積り金額を裁判所に納付する。(荷物搬出と最長1ヶ月の保管費)

①の送達証明(滞納者へ送達された証明)執行文付与(執行力がある証明)は、裁判所に申請することで入手することができます。また、③で実際に現地へ執行官が来て、該当物件に強制執行の日時が記載された紙を建物内側に貼りだします。これは、滞納者がいようがいまいが関係なく、施錠されていようが解錠して実行されます。ちなみに、荷物の量等にもよりますが、②の予納金は10万程。④の見積り金額は100万程です。この金額は、後から滞納者へ請求できますが、振る袖もない滞納者が支払うことは、まずありえません。なので、実務上では滞納者に対し「これ以上、金額を増やすと今後が更に大変になる」と説得し強制執行の前に退去させるのがほとんどです。そうすれば、上記金額で使用しなかった分が裁判所から還付されます。

~強制執行B:滞納家賃の回収~

先述のように、滞納者が建物を退去した後、若しくは強制執行後に、滞納家賃を回収しなければなりません。俗に言う、給料や通帳の差押えです。

①裁判ででた判決に送達証明執行文付与を行う。
②必要書類を準備し裁判所へ提出する。
③第三債務者(債務者の勤務先や銀行)から回答がくる。
④回収できる債権が存在すれば、第三債務者とやり取りをし回収する。

①については明渡しと同様です。明渡しと差押えを同時進行するためには、債務名義(判決文)一部を裁判所に申請し、準備しなければなりません。そして、強制執行A・Bそれぞれに送達証明と執行文付与が必要になります。
②は印紙代と切手代がかかります。およそ8千円程、この金額は差押えで回収可能です。必要な書類の書式は裁判所で教えてくれます。執行の相手方(※第三債務者や滞納者、連帯保証人)が増えると若干金額が増加します。
③で、第三債務者が銀行の場合は支店を把握する必要があります。ですから債権執行した銀行に債務者名義の通帳がない場合は無駄骨になってしまいます…。しかし、どうしてもわからない場合は、引落し口座や住まいから最寄の金融機関を調査するのがセオリーです。勤務先への債権執行の場合は、手取りの25%を完済に至るまで複数回執行できます。
悪質滞納者の常として、滞納金額が膨れ上がり、そんな状態でも開き直って住み続ける。そんな悪質滞納者には、このように、こちらの本気さや熱量をわからせる必要があります。それが訴訟なのです!確かに、裁判一連の手続きは面倒で、時間も費用もかかります。しかし、そのような手段を実際に執ることで、のうのうと暮らしている悪質滞納者に、「お金の問題じゃない!」とこちらの怒りが伝わるはずです!これをクールに伝えていく事が家賃取り立ての奥義だと思います。