2022年2月号(2)土地の売却益がふるさと納税でお得に!?

●ふるさと納税とは?
以前にもご紹介をさせていただきましたが、
ふるさと納税とは「地方活性化を目的とした納税法」です。
このふるさと納税制度により、地方にお金を集めるため全国各地から地方自治体が寄付を募り、
集まった寄付金を自治体がその住民のために活用することができます。
自治体に寄付をした人は、寄付額の中から、所得税・住民税が控除される仕組みとなっています。
寄付を行うには自己負担金として2,000円が必要ですが、自治体からはそのお礼として、
その土地にちなんだお肉や野菜、交通や宿泊の割引券、空き家管理サービスといったものまで、
全国の様々な「返礼品」と呼ばれるお返しを受け取ることができます。
例えば10,000円をふるさと納税して自治体に寄付をします。
すると、そこから自己負担額2,000円を引いた、8,000円が控除対象となります。
つまり、実質の支払い金額2,000円で全国の様々な商品やサービスを
受け取ることできるという大変お得な制度です。

ただし、控除には上限額があり、所得や世帯数等によって限度額が変わります。
限度額についてはふるさとチョイスなどの「簡易シミュレーション」で計算したり
税理士さんにお尋ねいただくと分かります。
ふるさと納税で控除を受けるためには、ワンストップ特例制度を使うか、確定申告をする必要があります。
家主様は毎年確定申告をしている方がほとんどかと思いますので、
ふるさと納税で手間が大きく増えることはありません。

確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる制度。

●土地の売却時にも使える!?
家主様の中には土地の売却を経験された方も多いかと思います。
ここで気になるのは「土地の売却時に発生する税金は、ふるさと納税の対象になるのか?」という点です。
結論から言うと、土地売却時に発生する税金もふるさと納税の控除対象になります。
しかし居住用財産売却の場合は、ふるさと納税よりも
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」(以下:マイホーム売却の特別控除)を利用する方が、
なんと言っても控除額が大きくなります。
居住用不動産の売却の際にふるさと納税を適用することも可能ですが、
ふるさと納税による寄付金控除とマイホーム売却の特別控除は併用不可となっているので注意が必要です。
課税対象額が残ってしまい、ふるさと納税を活用すると、
却って損をしてしまう結果にもなってしまいます。

●お得が生まれるまで
マイホーム売却の特別控除が使えない不動産を売却した場合には、
課税譲渡所得が多額になため、ふるさと納税も有効に使えるケースがあります。

課税譲渡所得金額 =譲渡価額 – (取得費+譲渡費用) – 特別控除額

例えば「土地を2,000万円で売却。土地は1,000万円で購入、
仲介手数料・印紙税など譲渡費用で200万円掛かった」という場合、
課税譲渡所得金額は2,000-(1,000+200)=800万円となります。
また相続した不動産で契約書等が無いなど、購入費が不明な場合もあります。
購入費不明の場合は「概算取得費」で計算しなければならず、譲渡価格の5%で計上となります。
購入費不明で特別控除が適用されない不動産を、売買価格2,000万円、
譲渡費用200万円で売却した場合、取得費は譲渡価格5%の100万円、
従って譲渡所得金額は2,000-(100+200)=1,700万円、譲渡所得税も本来ならば約340万円となり、
ふるさと納税枠もグンと増えます。ふるさと納税の商品で、
あの加賀屋別館1泊2食付きツイン45万円が実質2,000円負担で!

●ただし、注意点もある
合計所得金額により適用できなくなる控除があります。
基礎控除48万円は合計所得2,400万円超で減り始め、2,500万円超で0になります。
配偶者控除38万円は合計所得900万円超で減り始め、1,000万円超で0となります。
住宅ローン控除は合計所得3,000万円超の年は適用できません。
また、不動産の売却とふるさと納税を行う年度は同じ必要があります。
ふるさと納税を行っても減税になるわけではない、という点も注意です。
税金対策と言える部分はあくまで「返礼品部分」です。
つまり、ふるさと納税は「欲しい返礼品があればお得な制度」と言えます。