2022年7月号(1)不動産取引での電子契約が全面解禁!

2022年5月の宅地建物取引業法改正により「不動産取引での電子契約が全面解禁」となりました。
今までは「取引士が記名・押印をした書面での契約書交付」が必須となっていたため、
紙の郵送や対面でのやり取りが必要でしたが、今回の法改正により、
今後は電子データを使ったオンラインの契約手続きが可能となります。
昨今のIT重説を皮切りに不動産取引のオンライン化の波が押し寄せていましたが、
今回の電子契約全面解禁によって、
不動産契約の締結までに関わる全ての行為をオンラインで完結出来るようになります。
これにより、不動産業界のデジタル化が今後一気に加速すると考えられます。

●「電子契約は便利」が9割以上
電子契約を利用しているユーザーの9割以上が「電子契約は便利」と感じているようです。
また、「電子契約に対応している仲介会社を選択したいですか?」という質問では
「選択したい」との回答が約53%となっており、
世の中の半数以上は電子契約は便利であり、
電子契約に対応している不動産会社を選びたいという結果が出ています。

●書面契約とは何が違うのか?
ここで皆さんが気になるであろう点は「そもそも書面契約と何が違うのか?」
「電子で契約しても契約は有効なのか?」などがあるかと思われます。

【電子契約の仕組みとは?】
まず電子契約という言葉は「電子データで契約を取り交わす行為」を指します。
電子データで受け取った契約書に、どうやって書面と同じように署名(サイン)をするのか?
という点ですが、電子契約を行う際には「電子署名」を利用します。
電子署名を使うと、「暗号化」と「復号」を使って本人であることの有効性、
そして同時に契約書の真正を担保することができます。
電子契約を行う際には、まず「電子認証局」という第三者機関が
「秘密鍵」「公開鍵」と呼ばれる鍵を発行します。
署名者が「秘密鍵」を使って署名を「暗号化」、
受取側(不動産会社)が公開鍵を使って「復号」することで、
契約書の署名者が本人であることを確認できます。
ここで、過去に電子契約を行った経験がある方なら
「秘密鍵…?発行した記憶が無い」となるかもしれません。
これは、電子契約サービスを提供している事業者によって、
メールの送受信を行うだけで秘密鍵の発行や当時者同士であることの証明が
担保できるような仕組みが導入されているためです。

また、「タイムスタンプ」という仕組みによって、
契約書の「いつ」「何を」が保証されます。
タイムスタンプとは「ある日時以降でその電子文書の内容が改ざんされていないことを
証明するための技術的な仕組み」のことです。
電子契約では、「電子署名」と「タイムスタンプ」の併用によって、
「(契約の法的効力を持つ)電子文書の完全性の証明と言われる、
「契約書に署名した時点(いつ)」
「契約書の内容が改ざんされていない(何を)」
「契約者が間違いなく本人(誰が)」の3つが保証され、契約書の原本性を担保しています。
「契約の効力」については、「電子文書の完全性の証明を行うことで、
書面の契約と同等の証拠力を持つ」ということが、
電子署名法によって規定されています。

●不動産業界のDXが想像を超えて加速する
5月に「不動産取引の電子契約が全面解禁」という不動産業界での歴史的な変革が起こり、
不動産業界も一気に変化をしています。
不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)が
信じられないスピードで加速している昨今、
時代に取り残されないように、引き続き精進していく所存です。