2020年5月(2)ついに始まった民法改正~知っておくことエトセトラ~

3月号に書きました民法改正。
皆さんから多数お問い合わせをいただきました。
皆さんがお考えのように重要な内容になりますので、
今回はさらに突っ込んだものをQ&A方式でご紹介していきます。

●極度額について

 

【Q1】
極度額はいくらに設定してもいいのでしょうか。

《A1》
設定は自由です。ただし公序良俗に反するとして無効になります。
実務的には家賃の2年分で設定する事が多い状況です。

 

【Q2】
改正民法前に極度額の定めのない契約書について、
改正民法後の更新時に新たに極度額を定める必要がありますか。

《A2》
必要ありません。
賃貸借契約に関する保証人の責任については、
「更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」とする
最高裁判例(平成 9年11月13日最高裁第一小法廷判決)があり、
この判例の考え方は改正民法適用後も妥当すると考えられています。
そのため、施行日(2020年4月1日)前に締結され、
現行民法適用される個人の保証人(極度額なし)が施行日後に保証契約について
更新手続を行わない場合であっても、原則として更新後の賃料等について保証債務を負い、
この場合、現行民法が適用されたままになり極度額を設定する必要はありません。
もっとも、施行日後に保証契約が合意更新または自動更新※される場合は、
改正民法が適用され、極度額の定めがなければ保証契約は無効となりますので注意が必要です。
なお、「保証人は賃貸借契約が存続する限り、更新後の賃料等の一切の債務を保証する」旨の契約書の
条項は前述の最高裁判例(平成 9年11月13日最高裁第一小法廷判決)の理論を確認したものにすぎず、
保証契約の自動更新特約には該当しません。
※保証契約の自動更新…期間満了までに保証契約についての合意更新が成立しない場合に、
従前と同一条件・同一期間にて保証契約が自動的に更新される旨の特約がある場合に成立するもの。
(このような特約は極めて稀です。)

 

【Q3】
2020年3月中に契約し、入居するのは2020年4月の場合、改正民法が適用されますか。

《A3》
改正民法と現行民法のいずれが適用されるかは、賃貸借契約締結日により決まります。
そのため、契約期間が2020年4月1日からであっても、
また、鍵の引渡日が2020年4月1日以降であっても、
2020年3月31日までに賃貸借契約を締結していれば現行民法が適用されます。
ただし、賃貸借契約と保証契約は別の契約ですので、賃貸借契約に現行民法が適用される場合であっても、
保証契約(個人が保証人となる場合)が2020年4月1日以降に締結される場合は、
極度額の定めをしなければ無効となりますので注意が必要です。

 

【Q4】
民法改正後に極度額を定めて締結した保証契約の契約期間中に
連帯保証人が滞納賃料を代位弁済し、保証の極度額が減少しました。
この場合保証契約の更新合意書を交わし、合意更新した後は更新合意書記載の極度額まで戻りますか。

《A4》
この問題は、更新時の状況によって異なります。
例えば、更新前の保証契約の極度額が200万円で更新前に保証人が50万円を代位弁済して、
極度額が150万円に減少していたが、更新契約書には単に従前通り極度額が200万円とだけ記載されている場合、
当然に、極度額が150万円から200万円に戻るという解釈は難しいように思います。
この場合、「更新の前後で極度額の変更がない」という解釈も成り立ちうるからです。
実際に極度額を200万円まで戻すのであれば、更新契約書に
「現在、極度額が150万円まで減少しているが、更新後は極度額を200万円まで戻す」という記載が必要です。
これに対して、更新前の保証契約の極度額が200万円で更新前に保証人が50万円を代位弁済して、
極度額が150万円に減少していたが、更新契約書に極度額が300万円と記載されている場合は、
極度額の枠が300万円に変更されているので保証人としては300万円までは新たに保証債務を負うという意思があったとして、
極度額が150万円から300万円に戻るという解釈は十分に成り立ちうると思います。
ただし、50万円を弁済したことにより、極度額が150万円まで減少していることを保証人が理解した上で
新たに極度額を300万円に設定したのかという点が問題になる可能性もあるので、減少した極度額を戻す場合には、更新契約書に
「現在、極度額が150万円まで減少しているが、更新後は極度額を300万円まで戻す」という記載をしておくことが望ましいです。

しかし、更新時に一度定めた極度額まで戻す、もしくは極度額を変更するなどは連帯保証人がすぐ納得することは難しいように思います。
実務的には、従前の保証契約(極度額が減った状態)を継続してもらうことが多いと考えます。
長期入居であれば極度額を見直す必要性も出てきますが、極度額を戻すことよりも、
このようなことも見越し、しっかりとした極度額を定める必要があります。

 

まだお伝え足りないので、続きはまた今度ご紹介します^^