2019年5月号(1)自分で出来る!?裁判の手続き!

滞納者を追い詰める!

電話をしても折り返しがなく、訪問してもいつも不在、そうこうしている内に時間だけが過ぎていく。その結果、家賃が回収できず滞納金額が膨れ上がる。一般的に、家賃滞納が2ヶ月以上になると、正常な支払い習慣に戻るのが厳しくなると言われています。なので、本来であれば2ヶ月以上の延滞は絶対に避けたいところです。しかしながら、滞納者と話すことができず、連帯保証人とも連絡がとれない。更には、電話番号が変わっている等、2ヵ月滞納になった時点で、法的明渡しの検討も必要となります。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、家賃を支払っていないからといって、家主様や管理会社が勝手に部屋の鍵を開け、室内に入室するのは、自力救済といって違法です。少し前の話ですが、とある管理会社が滞納している部屋の鍵を勝手に変えました。これが違法と判断され、滞納賃料と損害賠償(慰謝料)とを相殺されてしまったのです。踏んだり蹴ったりとは正にこの事!なので、滞納している入居者に退去させ、家賃を支払ってもらうには、法的な手続きを踏んでいかなければなりません。
今回はそんな裁判手続きについてご紹介させて頂きます。
さて、皆様は裁判をすると聞いて何を連想するでしょうか?まず最初に、①弁護士への依頼費用がかかる。そして次に、②時間がかかる③手続きが面倒くさそう。といったところではないでしょうか。

①弁護士費用について

【裁判をする!】と聞くと「弁護士に依頼しないと…」と思いがちです。
しかし、滞納家賃の回収や建物明渡しならば、家主様が原告となり単独で訴えを起こすことが可能です!(※争う金額が高額な場合や、ややこしい事情がある場合にはやはり弁護士へお願いするのが安心です!) 必要な書類は裁判所のホームページからダウンロードできますので、必要事項を記入し管轄の裁判所に提出すればOKです。一般人の原告本人が裁判所に出向けば、内容の不備について説明をしてくれます。管理会社の私には冷たいのですが…(^_^;)

②時間がかかる

「裁判って何年もかかるんじゃないの?」という認識があると思います。
確かに、原告と被告の言い分に食い違いがあれば、何度か裁判所に出向く必要があります。しかし、滞納家賃の回収であれば、事実関係がはっきりしてます。相手も異議を述べない(裁判を欠席したり)ので、時間がかかる可能性は低いのです。

手続きが面倒くさい

実際に訴えを起こす場合、自力で正しく解決を努力したという、「前提」が必要となります。それが一般的には「内容証明郵便」となります。これはその名の通り、郵送した事実を証明してくれるものです。裁判の証拠にもなります。
しかし、その準備が面倒なのです!まず始めに、500字程度の文字数制限があります。次に、一言一句同じ物を3部用意する必要があります。その理由は、受取人に送付するものと、差し出し人控え、それに郵便局が保管するためです。そして最後に、これが1番辛いのですが3枚とも内容が同じものか等を郵便局の方が確認するため、平気で約30分~40分待たされます。
ところが、今では【電子内容証明】という、郵便局に行かなくて済み、文字数制限もほぼなく、Wordの標準的な設定で1500文字ほど記載ができる手続きがあるのです。更には24時間いつでもインターネットから送ることができます。もちろん、証拠として提出も問題ありません。ですから、今ではこちらが主流になっています。
家賃滞納は、賃貸経営にとって大変重大なリスクです。できるなら、手間のかかる裁判手続きでなく、電話や訪問で滞納者と話をし、支払計画を立て、正常化させるのが肝要です。家賃を滞納させないテクニックが、逆に長期入居に繋がり、家主様へのお役立ちに繋がると考えています。

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