2026年4月(1) なんちゃって定期借家契約にご注意を!

不動産オーナーにとって、「自分の物件が今どういう契約になっているか」は、普段あまり意識されないことかもしれません。
「しっかり賃料が入っているし、任せているから大丈夫」そう思っていただける安心感を与えられていることは、管理会社として何よりの励みです。
しかし、いざ「物件を売却しよう」「建て替えよう」と次のステップを考え始めたとき、実は売却や建替えのハードルが高い契約になっていたとしたらどうでしょうか。
今回は、オーナー様の将来の自由度を左右する「契約形態」の重要性と、実際に起こったトラブルの事例についてお話しさせていただきます。
本題の前に、すでにご存知の方もおられるとは思いますが、普通借家契約と定期借家契約のご説明です。



売却直前に露呈する「そんな事聞いていない!」

先日、他社で管理されている賃貸物件の所有者様から売却相談を受けた際に、次のようなトラブルに直面することがありました。

売却を希望されていたオーナー様は
「今年中で終わる定期借家契約だから、スムーズに退去してもらえる」と考えられていましたが、
弊社が調査のため入居者様へ聞き取りを行うと、
「家賃さえ遅れなければずっと再契約できると聞いていた。退去しなければならないなんて聞いていない!」と
猛反発を受ける事態に陥ったのです。

“再契約可能な定期借家契約”など存在しません。

契約終了の1年から半年前までにオーナーと入居者双方の再契約の希望があれば再度契約を結べますが、
再契約ができると予め約束された定期借家契約は存在しないのです。

これは、他社の管理担当者が「再契約時の手数料」という目先の自社利益を優先し、
入居者様に対して「名前は定期借家契約ですが、家賃が遅れる等の問題がなければ実質はずっと居られますよ」という、
制度の趣旨を無視した安易な説明を行っていたことが原因です。

本来、普通借家契約であれば退去に際して膨大な「時間」と家賃数ヶ月、
年単位の「立ち退き料」が発生しますが、
定期借家はそのリスクを回避するために選ぶものです。
しかし、現場でこうした誤った運用がなされると、定期借家のメリットはすべて台無しになります。

なんちゃっての定期借家契約はオーナー様の不利益に直結します。
こういった状況に陥ると、いざ売ろうとした時に大きな障害となります。
多額の解決金(立ち退き料):誤った説明を信じていた入居者様への補償が必要になります。
売却価格の見直し:本来、空室や退去確定であれば買い手は低金利な「住宅ローン」を利用できますが、
入居中(退去未定)の場合はハードルの高い「収益用のローン」しか利用できません。

結果、買い手が限定され、「オーナーチェンジ物件」としての金額での売却を検討しなくてはなりません。
契約書という「紙」が整っていても、現場での正式な説明という中身が伴っていなければ、本来の資産価値は守られません。

資産価値を守るために、弊社が徹底していること
こうした事態を防ぐため、弊社では日頃から以下のポイントを徹底しています。
・オーナー様の利用方法に合わせた提案:目先の契約だけでなく、オーナー様が将来「売りたい」「貸し方を変えたい」と思った時に、
いつでも選択肢が持てる状態を作れるよう提案しております。
・借主様への丁寧な説明:契約時に「期間満了で終了すること」を口頭と書面でしっかりとお伝えし、
将来的な認識のズレが生まれないよう徹底しています。

不動産の契約は、数年、数十年と長く続くものです。
これからもオーナー様の大切な資産を最適な状態で維持できるよう、
一つひとつの実務を丁寧に進めてまいります。
ご所有の他の物件などで「今の契約状況をチェックしてほしい」や、
少しでも不安なことがあれば、いつでも気軽にお声がけください!