2026年4月(2) 拡大する住宅リースバック -利便性の裏に潜むリスクとは-

近年、「住宅リースバック」という仕組みが急速に広がりを見せています。
自宅を売却した後もそのまま住み続けられるという特徴から、
特に高齢者層を中心に利用が増加しています。
『週刊住宅』の報道によると、2025年の重大ニュースにもランクインするなど、
市場としての注目度は年々高まっています。

不動産会社に加え、金融機関の参入も進み、
まさに「不動産×金融」の新たなビジネス領域として拡大しています。
一方で、利便性の高さの裏側で、見過ごせない問題も顕在化しており、
国土交通省もガイドブックの整備を進めるなど、社会問題としての認識が高まっています。

■広がるリースバックの実態
住宅リースバックは、所有している自宅を売却した後でも、賃貸物件として住み続けられる仕組みです。
主な利用目的は以下の通りです。
・老後資金や生活資金の確保
・住宅ローンの返済負担軽減
・相続対策や資産整理

特に、近年の金利上昇局面では、住宅ローン返済に悩む層の利用も増加しているとされています。
また、買取価格は市場価格の6~8割程度となるケースが多く、
利便性と引き換えに価格面での調整が行われているのが実態です。

■顕在化するトラブル
市場拡大とともに、以下のような問題が報告されています。
・相場より大幅に安い価格での買取
・契約内容の不十分な説明(「住み続けられる」等の説明と、実態の乖離。

買取業者にすれば『高価値の不動産を安く購入する』ことを狙っているため、
「不当に安く売らされた」とのトラブルが多発しています。

また、他に問題となっているのが契約形態です。
本来、リースバックでは「定期借家契約」が用いられることが多いですが、
契約更新や再契約ができないケースがあり、結果として退去を求められる事例が発生しています。
実際には、「2〜3年後に再契約ができず退去」「引っ越しが前提となる」といった契約形態もある為、
“必ず亡くなるまで住み続けることが出来る”との、利用者の認識とのズレがトラブルの要因となっています。

■さらに複雑化する商品設計
・シニアリースバック(年齢制限あり)
・短期型(居住期間限定)
・買い戻し特約付き など、商品ごとに条件が
大きく異なり年々複雑化しています。
一見すると魅力的に見える条件でも、長期的に見ると不利になるケースもあり、内容の理解が非常に重要です。

■行政の動きと今後の方向性
こうした状況を受け、国土交通省はリースバックに関するガイドブックを作成しています。
主な内容は以下の通りです。
・契約内容の確認
・金銭的メリットデメリットの注意
・設備や賃貸借ルール
・業者選定のポイント
また、宅建業者に対する規制や、誤認を招く説明の禁止なども検討されており、
業界全体としての透明性向上が求められています。

■オーナー様が押さえるべきポイント
リースバックは有効な選択肢の一つである一方、以下の点には十分注意が必要です。
① 売却価格は即決せず、弊社にご相談下さい
② 契約形態(定期・普通)の違いを理解する
③ 家賃と将来負担をシミュレーションする
④ 再契約・買い戻し条件を確認する
⑤ 「住み続けられる」という表現を鵜呑みにしない

■まとめ
住宅リースバックは、「資産の現金化」と「居住の継続」を両立できる画期的な仕組みです。
しかし、その一方で、契約内容や価格設定に関するリスクも内在しています。
市場の拡大とともに、商品はより複雑化し、利用者側の理解が追いつかないケースも増えています。
だからこそ重要なのは、「メリット」だけでなく「リスク」も正しく理解した上で判断することです。
私たちは今後も、オーナー様にとって本当に価値のある選択ができるよう、中立的かつ実務的な情報提供を続けてまいります。