2023年11月号(2)物件にまつわる税金の話あれこれ

●「タワマン節税規制」で一般マンションの相続税も大幅アップ!?

「タワマン節税」という言葉をお聞きになられたことはありますか?
「タワマン」いわゆるタワーマンションは、市場価格より相続税評価額が
はるかに安く(平均して市場価格の4割程度。戸建ては6割程度)相続時に資産を現金で持っているより、
タワーマンションを購入し保有したほうが相続税を節税できるというものです。
そうなる理由としては、総戸数が多いマンションでは一戸あたりの土地の持ち分が少なく
土地の評価額の割合が低いため、更には高層階や南向きのお部屋のほうが、
売るにしても貸すにしても高い価格に設定できるにも関わらず、
今迄の評価方法では、面積でしか評価されないので、同じマンションで専有面積が同じならば、
基本的に固定資産税・相続税評価額も同じになったのです。
専門家はここに着目して、節税スキームとしていたんですね。
これを是正すべきだとした政府が、相続税についてマンション評価の見直しの方針を今年打ち出しました。
計算方法の詳細は省略しますが、国税庁が「総階数」「所在階」「築年数」「敷地持分狭小度」に基づいて「市場価格」を算出し、
それに対して相続税評価額が6割未満の場合は、戸建て並みの6割に補正します。
令和6年1月1日以後の相続又は贈与により取得した場合に、
新しいマンションの評価方法が適用されます。
ちなみに見直しの対象は「区分所有者が存する家屋で居住の用に供する専有部分があるもの」で、
分譲マンションや賃貸中の分譲マンションの部屋になります。
一方で、区分所有のない1棟ものの賃貸マンションや、テナントビルは対象外です。
どれくらい評価額はあがりそうなのでしょうか?
タワーマンションではない、地方都市の一般的なマンションへの影響は?
「ケース・バイ・ケースです」という結論にはなるのですが、
大都市のタワーマンションで築浅物件、中・高層階のお部屋になりますと
相続税評価額は今迄の2倍を超えることもあり、一方地方都市で地価があまり高くなく、
一般的な造りのマンションで築古物件・低層階のお部屋となりますと、
現状とほぼ同じか、せいぜい1,2割増くらいで済むケースも出てくる見込みです。
あくまで参考・概算のようですが、固定資産税等の明細書があれば補正見込額を計算できるツールを、
ある税理士さんがネット公開して下さっています。

注意しないといけないのは、結婚後20年を超えた夫婦間の非課税贈与、いわゆる「オシドリ贈与」で、
マンションの持分を配偶者に贈与する場合、合計2110万までの非課税枠を超えやすくなります。
また、相続時に一定の条件を満たせば「小規模宅地等の特例」という、
居住用家屋や事業用物件の土地の相続税評価額が80%も減額できる制度があり、
土地の相続税評価額の割合が高い物件がこの特例をより活かせます。
なので、現在マンション在住の方は、相続税評価額・築年数が同じくらいであれば、
土地の相続税評価額の割合が高い戸建て等の物件に住み替えるほうが相続税は安くなります。
ですからこの際、住んでいる分譲マンションは賃貸に出すか売却することをご検討されてはいかがでしょうか?
あるいは今回の改正により、影響を受けない賃貸マンション・アパートの購入に相続税対策のシフトが移り、
購入希望者が増える可能性があります。市場の動向に注意が必要です。

●空き家放置で固定資産税が6倍に!?

今やあらゆる地域で管理不十分な空き家が防犯・防災面等で問題となっています。
長期間居住せず賃貸にも出していない「居住目的のない空き家」は、
政府統計では349万戸あり(2018年)、この20年で約1.9倍に増加。
2015年施行の「空き家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家特措法)」では、
倒壊する危険が高い「特定空家」を自治体が指定して指導・勧告対象とし、
通常は宅地に適用できる固定資産税額の減額特例(最大6分の1、都市計画税は最大3分の1)を解除しています。
これが本年6月に改正法が公布され(年内施行予定)特定空家になる恐れがある家屋を
新たに「管理不全空家」として指定できることになりました。
そして指導されても改善されない場合は、特定空家同様に固定資産税等の減額特例の解除対象となります。
要修繕、草木はぼうぼうのままの物件について、管理も建物解体もせずにいると、
税金があがるようになった、と言えます。

相続・贈与・空き家管理等についてお悩みの方や売却を検討されておられる方は、
代表の青山が太宰府市において空き家対策協議委員を務めている弊社にご相談ください!!