2024年1月号(1)今後は増えるかも知れません~死後事務委任契約~

お部屋での孤独死。亡くなった方のご冥福をお祈りするのは当然ですが、
身寄りが一切いない、亡くなってから発見までに時間が経っていた等、
非常に頭の痛い問題です。ちなみに入居者が亡くなってしまった際に、
居室内にある残置物を独断で処分したり、
賃貸借契約が終了したと考えて次の募集にすぐに着手していませんか?
残置物は相続の対象になりますので、勝手に処分してしまうと、
仮に後に現れた相続人との間でトラブルになります。
このような貸主側の不安感を払しょくすると共に、借主側においては、
単身の高齢者が賃貸住宅に入居する機会を拡大することを目的として 国土交通省と法務省が、
入居者が亡くなってしまった場合の円滑な賃貸借契約の解除と
残置物の処分を可能とするモデル契約条項(死後事務委任契約)を公開しました。

●残置物の処理等を円滑に行う方法のすすめ

入居者が死亡すると、賃借権と物件内に残された家財(残置物)の所有権は、
その相続人に承継されるため 相続人の有無や所在が分からない場合、
賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になることがあります。
そこで、入居者の死亡時に残置物等を円滑に処理することができるように、
賃貸借契約の締結前に 入居者と受任者との間で、
①賃貸借契約の解除②残置物の処理に関する死後事務委任契約を締結し、
家主と入居者の間の賃貸借契約に①②に関連する条項を盛り込むことが有効な手段となります。

【① 賃貸借契約の解除事務の委任に関する契約】
家主との合意によって入居者の死亡時に賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与えます。

【②残置物の処理事務の委任に関する契約】
入居者の死亡時における残置物の廃棄や指定先への送付等の事務を受任者に委託します。
入居者は、『廃棄しない残置物』(相続人等に渡す家財等)を指定するとともに、その送付先を明らかにします。
受任者は、入居者の死亡から一定期間が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した後に、
『廃棄しない 残置物』以外のものを廃棄します。
ただし、換価することができる残置物については、換価するように努める必要があります。

【受任者のなり手】
入居者の推定相続人や、居住支援法人、管理会社等の第三者 推定相続人が判明している場合は、
推定相続人のいずれかが受任者の第一候補となることが望ましいです。
家主は入居者との関係上、受任者となることができません。

【委任契約・賃貸借契約と関係者のイメージ】

●競合物件との差別化サービスに
筑紫野市では65歳以上の人口は約25%。数にすると26,417人(2020年国勢調査)。
そして単身世帯数は4,398世帯です。この数字はある意味でリスクです。
しかし今までの賃貸借契約に加え、
死後事務委任契約締結を絡める事でリスクが低減でき”単身高齢者層”の申し込みアップ。そして安定満室経営へ。
これは競合物件との差別化の武器になるかも知れません。
今後も適宜ご相談を差し上げますので、ご検討をよろしくお願いいたします。