ご案内方法は変わりました
『タイパ』…最初は何のことか分かりませんでした(笑) これは、時間短縮による効率性重視を意味するタイムパフォーマンスを略した若者を中心に使われる言葉です。高齢化社会と言われて久しいですが、賃貸市場においては、まだまだ圧倒的多数の年齢層は20代と30代。この背景を考えた時に、メインの年齢層が望むもの・ニーズを提供するのは、事業者として当然のことであり、乗り遅れるわけにはいきません。
お部屋を決めるのに、今までは『現地に行って、実際に室内を見る』この一択でした。しかし右上のグラフを御覧下さい。今では『オンライン案内』そして『そもそも見ない』こんな選択肢が出てきています。なお『そもそも見ない』の場合、後述するステージング画像で十分と考えていたり、室内動画を撮影しメールやラインで送ることで対応出来るようになった事が、最も大きい一番の要因と考えられます。
【増えたオンライン案内】
そして近年、タイパ重視の流れから、増加が顕著なのがオンライン案内です。
オンライン案内とは、スマホやタブレットでZoomやLINEのビデオ通話を使い、室内を見る方法です。実際にその場にいなくても、物件の雰囲気や状況等が把握できます。
時間とお金をかけて現地まで行かないので、圧倒的タイパとコスパの高さがウケてます。
また、海外からのお部屋探しや転勤予定の方々、それに、お仕事や子育て等で、そもそも現地に来る時間がないといったお客様。このような、お部屋探しに十分に時間が取れず、仕方なく部屋を決めていたお客様の不満を、このオンライン案内は解消しました。
加えて『部屋探しは現地に行かなくてもオンラインで充分』と考えるような“洋服は手にとって試着して買うもの世代”の私と違い(笑)、抵抗なくネット通販で服を買うような方々が増えたことも、オンライン案内の増加要因の1つと言えそうです。
実際に弊社でも、全授業を英語で行うリンデンホール小学部に御子息を通わせるため、韓国のお客様がお部屋探しにZoomを活用したオンライン案内を行いました。また、ご主人は現地、奥様はご自宅からLINEビデオ通話で内見された事もありました。
【CG技術の活用でステージングを】
右の写真はCG加工を用いたステージング画像です。
ステージングとは、物件に家具や生活用品等を設置し、生活をイメージさせ成約率を高める手法です。
今は現物のテーブル等を設置していますが、CGを使えば、ベッドや冷蔵庫のような大型家具等を設置出来、我々も力仕事が減り助かります(笑)
このステージングの広がりも、オンライン案内が増えた要因の1つと言えそうです。
ご案内での新しいスキル
オンライン案内ニーズの高まりにより、クレームも出てきます。よく挙がるのが、実物と映像で大きな違いを感じるという点です。現在のカメラは非常に性能がいいので、「映像に比べて実際は部屋が狭く感じた」というご意見があります。また、室内だけでなく廊下や周辺環境も、もっとしっかり見たかったとのご要望もありました。
ここが難しいところです。オンライン案内は、単にカメラを構えて室内を歩けばいい、というものではありません。カメラをゆっくりと動かすことも大切ですし、また、カメラに映る範囲は思いのほか視野が狭い為、上下左右にもカメラを動かして見ていただく気配りも必要になります。更には、画像に注視せず、お客様の表情の変化を感じ取るセンスも必要です。「あっ!もう少し今のところ、じっくりと見たかったな」 「扉を開けた際に、ギギ~と音が鳴ったような気がしたな」など、お客様のちょっとしたリアクション・表情を読み取り「今のお部屋をもう一度ご覧になりますか?」等、かゆいところに手が届くような反応や感性が必要なのです。
通常の案内でも必要なこれらの感受性を、カメラの中のお客様の表情等から読み取れること。オンライン案内はTVで言えば、レポーターとカメラマンを、1人で2役するようなもの。トーク力と、カメラワークのスキルが必要なのです。
【もはや映画監督!? 映像プロデューサー!?】
『駅から建物、そしてお部屋の中へ』
カメラを回しながらこの道を歩けば、これはもう、1つの映画のようですよね。
今から必要になるスキルは、コミュニケーション力に加え、映画監督のような“演出家”の要素が必要です。
弊社では賃貸営業マンではなく、賃貸コンサルタントと名刺に書いていますが、今後は『賃貸プロデューサー』に変更することも考えないといけません。
【今後は…】
かつて電卓が登場した際「考える力が失われるから、そろばんじゃないとダメだ」と言われていたそうです。隔世の感がありますが、オンライン案内も今後益々主流になるのでしょう。
そしてその時に演出家のような案内ができる『オンラインの案内は”あおやま”』と認識されるようなスキルを、しっかり身に付けることで、一手に成約したいと思います(笑)
時代にアンテナを張りつつ、しかし不易流行の精神は忘れず、地に足をつけ学んで修得しつつ今後も行動して参ります。