帝国データバンクが昨年発表した「不動産仲介業」の倒産動向の調査結果によると、令和5年度の不動産仲介業の倒産は、前年の69件から、7割増の120件と、過去最多となったそうです。その背景には、入居希望者が減少したことで、仲介業者の収入源である“仲介手数料収入が減少したこと”があげられます。これは、転居時期を3月に限定しない動きが広がっていることに加え、コロナ禍を経て、在宅勤務の普及、転勤制度の見直しが進んだことにより、法人需要が伸び悩んでいること、また、引っ越し代の高騰や、工事費用・管理経費の引き上げに伴う家賃の上昇から、学生では近距離への進学や、個人の住み替えニーズにも手控え感が出たことが要因と考えられます。
そんな中、私たちが不動産業界で体感している変化が、以前取り上げた、アパート・マンションの売却打診DMや、管理変更DMの急増です。賃貸にしろ、売買にしろ、仲介専門会社は、常に仲介取引がないと収入が途絶えてしまいます。
賃貸の仲介件数が減ったなら、売買での取引件数を伸ばすか、新規で管理業務を始めるなど、収入源を増やす必要が出てくるのは当然のことです。コロナ禍以降、皆様にも「○○様のアパートを購入したいお客様がいます!」と嘘も方便のDMが届いたり、管理変更の打診があっているのもこの影響です。
生き残るのは、強いものではなく・ ・ ・
仲介専門会社の倒産が増えている一方、私たち管理会社は安泰なのでしょうか?確かに、仲介手数料に加え、管理手数料という収入があるため、仲介件数が減ったとしても、それだけで倒産することはないでしょう。しかし、仮に世の中の大多数が管理会社になった場合、もちろん必ず、管理会社同士が比較される時代になります。と言っても、すでに、大手不動産会社を中心に、DXを活用した情報発信・オンライン内見や電子契約など先進技術の導入や、中には優良な築浅物件等を自社限定紹介として囲い込む動きが進んでおり、今後、資本力のある大手や、中小企業と、自らして投資できない零細企業との格差が広がると予想できます。物件紹介の機会を失った仲介会社の淘汰がさらに進むと同時に、時代の変化に対応できない管理会社もいずれ淘汰されるでしょう。
現代社会のトレンド~学ぶ意欲~
あらゆる業種が競争社会でしのぎを削る中、生き残る商品、企業には共通点があると考えます。それは「変化するもの」であること。これまでの常識にとらわれず、時代の変化を感じ、実行し、順応すること、そしてそれを繰り返し行うことが、生き残るための最も重要なことだと考えます。
そのためには、常に世の中の価値観が変わっていることを認め、自分自身の視点さえも疑う貪欲さで「学ぶ」ことが必要です。例えば“生成AI”は、自分の代わりに文章を作成したり、画像を作成したり、音楽を作成してくれるという、まるでsFの世界のような代物。少し前までTVでも、「そんなものを使ったら、頭が悪くなる!」と言われていましたが、今私たちは、変化するため、この生成AIについて、社内で勉強会を開き、実践し、学んでいます。また、不動産業界だけにとどまらず、世の中の変化を学ぶため、毎月全社員と取引業者さんで集まり、勉強会を開催しています。
変わるものと変わらないもの
最近の入居者は贅沢になった!家賃を上げてもらわないと困る!私たちもオーナーの皆様のお気持ちは痛いほどよく分かります。しかし、オーナーの皆様は経営者の皆様です。10年前と同じでは競争に勝てません。釈迦に説法で恐縮ですが、生き残るのは、強いものではなく変化するものなのです。提供するサービスや、商品の形は変われど、お客様が求めるもの、私たちが届けるものの本質は変わりません。私たちはもちろんですが、良ければご一緒に、これからも二人三脚で学んでいきましょう!