建築費高騰まだまだ続く!?
近年、建築費の高騰が深刻化しており、住宅購入や建物の建設をする個人や企業にとって大きな負担となっています。
建築費の高騰は2020年頃から新型コロナウイルスの世界的な流行(パンデミック)の影響により、急激に上昇し始めました。国土交通省の発表によると、建築コストは2019年と比べると2022年までの3年間で約20%も上昇しました。私の体感ではすでに約1.5倍近くまで上昇していると感じます。建築費の上昇は未だに落ち着く様子がありません。
建築費高騰には様々な要因がありますが、大きく分けて3つの要因があります。
【資材価格の高騰】
・ウッドショック:アメリカでの中古住宅のリフォーム需要の高まりに加え、世界的な木材需要の増加や、山火事やコロナ禍による工場の停止や閉鎖による供給力の低下、円安などが重なり木材の価格が一気に上昇しました。
・アイアンショック:ウッドショックと同様の要因に加え、ロシアのウクライナ侵攻による影響もあり鉄鋼価格が高騰しました。
・その他の資材:木材や鉄鋼以外にも建築に欠かせないコンクリートや断熱材などの様々な建築資材の価格も上昇しました。
【労働力不足】
・人手不足:建設業界では長年人手不足が問題となっています。職人の高齢化による引退により職人が不足し、賃金の上昇や人材確保のための費用が増加しています。
・働き方改革:労働時間の規制強化により、今までよりも工期が長くなることもあり、人材の効率的な活用が求められるため、コストの増加に繋がっています。
【その他の要因】
・エネルギー価格の高騰:原油価格や電気料金の値上げにより、製造コストや物流コストなど上昇が建設現場での燃料費などに影響しています。
・物流コストの上昇:ウッドショック時に起こったコンテナ不足や、上記で述べた燃料価格の高騰によって、資材の輸送コストが増加することによる影響。
・円安:円安により輸入コストの上昇も影響しています。
開発中止!?
皆さんもご存知の通り、現在福岡県内では「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」と言った大規模な再開発が行われています。しかし、首都圏では同じような再開発が延期や中止となっています。五反田TOCビルでは建築費の高騰により解体を見送り再開発がストップし、中野サンプラザでは当初の事業費が1800億円から3500億円と約2倍となり開発業者が自ら申請を取り下げました。また、皇居前の国立劇場の再開発では再開発業者がおらず、何も進んでいません。福岡でも再開発が活発に行われていますが、同様のことが起きないとも言い切れません。
今後どうなる?
建築費高騰の影響は住宅用地でも出てきています。ハウスメーカーやデベロッパーも建築費が上がった分、土地を安く仕入れようとしています。通常であれば、土地の仕入れに割いていた予算を建築費に回さなければ販売価格が高値になりすぎるからです。個人の方が家を建てようとする時にも、できるだけ土地値を抑えようとしており、現在売りに出ている土地も以前まで売れていた価格での売却が難しくなってきています。
近年福岡でも地価は上昇しているにも関わらず、余程の好立地・好条件の土地でなければ、価格を下げないと土地が売れないという矛盾した状況にあります。建築費の高騰が、土地の取引価格を下げ始めているということです。
不動産の売却相場は2013年以降上昇しており、今、過去20年で最高値となっています。特にマンションの売却価格は建築費の高騰により急上昇しており、一部地域ではバブル期より高値となっています。しかし、今後は人口減少、空き家増加による供給過多、住宅ローン金利の上昇など不安要素がたくさんあり、不動産価格が下落し市場が冷え込むことが懸念されています。必ずしもそうなるというわけではないですが、市場の動向に注意しておく必要があります。
ご所有の土地や空き家などがあれば、この機会に早期売却も検討してみてはいかがでしょうか?
その際はぜひ当社または物件担当までご相談ください!