皆様、【残価設定ローン】というローンがあるのはご存知でしょうか。
そうです。
車を購入する際に選択できる、カーローンのひとつとして有名ですよね。
実は今、国土交通省が、不動産についてもこの「残価設定型ローン」を
普及させようとする動きがあり、2021年度には
民間の金融機関が参加するモデル事業を始めると発表しているのです。
●残価設定ローンてどんなローン!?
通常、自宅を購入する場合、“住宅ローン”を組んで購入するのが一般的です。
釈迦に説法ですが、例えば4,000万円の一戸建て(土地・建物)を購入するとしたら、
その4,000万円を35年など長期間に分けて毎月返済する商品のことです。
頭金を用意したり、繰り上げ返済をしたりして、
総返済額を調整することはできますが、4,000万円全額を返済するまで終わりません。
一方【残価設定ローン】を利用して自宅を購入する場合、
購入時に、ローン終了時の“残価”という価値を設定し、
購入価格からその残価を差し引いた、残りの価値分に対してローンを組むというもの。
そして、ローンが終了する時に
【①売る(返還)、②買う(ほぼ土地代)、③②のために新たなローンを組む】
のいずれかを選択します。
残価設定ローンのメリットは、通常のローンよりも月々の支払い負担が低くなることにあります。
若いご夫婦の場合、子育て期間中のお金が必要な時期に支払いを抑え、
子どもたちが巣立ち、ライフスタイルも変わった頃にローン終了&売却(返還)することで、
その後の生活にあった住まいに移る、さらに、
その時にもう一度別の物件で残価設定ローンを利用することで、
再度支払額を低くするということが実現可能になります。
要するに、マイホームには住み続けながら、
支払額は家賃以下ということが常態化するはずです。
それって賃貸経営を行う私たちにとっては脅威ですよね!
でも、メリットの裏には必ず不確実性(リスク)も存在します。
例えば、残価設定ローンは、残価部分の「金利」だけは当初のローンに含まれるため、
終了時にまだ住み続けたい!と、もう一度新たなローンを組んでしまうと、
始めから通常の住宅ローンを組むより、支払総額が高くなってしまいます。
また、使用状況や予期せぬ火災、事故によっては、
設定された残価が保証されるのか分かりません。
さらに、数十年先に本当に売れるのか?などの不安もあります。
リバースモーゲージや、リースバック同様、その仕組みは素晴らしいのですが、
利用するにはそれなりの覚悟と度胸が必要なのかもしれませんね。
いずれにしても、賃貸経営に影響を与え得る国の方針には、
今後も注視しておく必要がありそうです。